表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/70

第8話 少女・おやつバー・ホテル。街は金があると快適らしい

その街は小高い丘の上にあった。

直径500mくらいの円状に広がった街。

街道はその丘の上の街につながっている。


この街は、都市国家になっていて、街と周りの町や村で国になっている。

同じような都市国家があちこちにあり、同盟関係にある。


街は壁で囲われている訳ではなく、木の柵で囲われている程度。

これなら、夜に乗り越えて侵入することもできそうだ。

もっとも、街に入るのは簡単で身分証明がなくても大丈夫らしい。


馬車に乗ったまま、街に入っていって東の入り口に近くにある広場に止まった。


「ついたぞ」


御者が教えてくれる。

さぁ、活動開始だ。


 ☆  ☆  ☆


「さて、どこから行こうか」


と言っても、何もしらないからな。

宿はどのあたりにあるんだろうか。


誰か聞ける人はいないかと思って見渡してみると、公園の端っこに子供が座っているのが見える。

10歳くらいかな。うん、あの子に聞いてみるか。


「よおっ」

「?」


子供は顔を上げた。

みすぼらしい恰好をしていたからわからなかったけど、かわいい女の子だな。

顔が小さくて目がくりっとしている。

髪がぼさぼさで、あちこち汚れているけど、ちゃんとお風呂にいれてあげれば、アイドルになれそうなくらいかわいいぞ。


「えっと。この街の宿がどこらへんにあるか知らないか?」


女の子は、無言で手を出してきた。

ん? なんだ?


「宿の場所を知りたいんだが」


やっぱり手を伸ばしたまま、くりっとした目で俺の顔を見つめている。

ははーん。お金を要求しているのか。

だけど、小さいの子にお金を上げるのはどうかな。


あ、そうだ。

馬車の中で食べようと思って買ったおやつがまだ残っていた。


クルミとドライフルーツを固めたバー。

途中の宿場町の露店で売っていたもの。

甘くておいしいから、多めに買っておいたのだ。


おやつバーを女の子の手に載せてあげた。


「!」


がつがつと食べ始めた。

あっという間に食べてしまった。


「おいしい~」


蕩けるような顔だ。

子供が好きそうなものだからな。


「食べたなら、宿のあるところへ案内しろよ」

「はいっ」


すたすたと走っていく。

おい、待てよ。こっちはいい歳なんだから、走れやしないんだ。

と思ったら、余裕で走れた。


そうだった。

18歳の身体になっていたんだ。

それもちゃんと鍛えている身体らしく、軽く走れる。


「こっちだよ」

「ああ」


一緒に走っていく。

すると、ぼろほろな宿屋に着いた。


このあたりは、貧乏人が住んでいるような場所だ。

たぶん、この子の家もこのあたりなんだろう。

さすがに、この宿屋は避けたいな。

金もあることだし。


「もっといい宿屋はないのか?」

「あるよ。こっち」


また走っていくから、ついて行った。

貧乏地区から住宅地区になっていく。

このあたりは庶民が住んでいる場所みたいだ。

でも、ここにはいくつか店はあるけど、宿屋らしいところはない。


しばらく走っていると、商業地区になったようだ。

お店がたくさん並んでいる。

その中に宿屋らしいのがいくつかある。


「どこが一番高い宿屋なのかな」

「こっち」


連れていかれたのは、2階建ての建物。

大きな玄関があり、銀髪のドアボーイが立っている。


確かによさそうな宿屋だ。



「ありがとな」

「あれ、もっと頂戴」


あ、さっきのおやつバーだな。

ふたつ渡してあげた。


「ありがとうっ」


へこってお辞儀すると、走って去っていった。

良く走る子だな。


「プラチナ・ホテルにようこそ」


玄関に向かうと銀髪のドアボーイが声をかけてくる。

なかなかイケメンのドアボーイだな。


「こちらへどうぞ」


ロビーに案内してくれる。

ロビーには、ふくよかな受付嬢がいて、にっこり笑ってくれる。


「お泊りでしょうか?」

「一泊いくらかな」

「スタンダードの部屋で銀貨8枚です」


やはり、そこそこ高いな。

宿場町の宿は大銅貨4枚だったから、20倍だな。


「じゃあ。その部屋を2泊で」

「かしこまりました」


ドアボーイが鍵を受け取って案内してくれるらしい。


ロビーには花が活けてあったり、絵が飾ってあったり。

いい感じのところだ。


部屋もいい感じで、8帖くらいの広さがあり、ベッドはふたつある。

ちゃんと綿入りのマットレスになっていて、クッションもいいから寝やすい感じだ。


「何か、御用はありますでしょうか?」

「今はない」

「それでは、何かございましたら、ロビーの受付嬢にお申し付けください」

「分かった」


ドアボーイは部屋を出て行った。


「さすがは高い宿だけあるな。何もかも快適だ」


ポーションを売りに行くことを考えていたけど、旅の疲れもあって、寝てしまった。


贅沢は敵じゃなくて味方ですね。


ファンタジー異世界転生日間ランキング155位です。


ブクマや評価をしてくれた方、ありがとう。


「続きが気になる」と思っていただいたら、ブクマ、よろしくです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ