第70話 エタドラ娘が街に来た
「おや、街があるな」
ダンジョンを出て散歩していたエタドラ娘。
街道に出たからそこを歩いていった。
すると街に着いた。
ここの街は丘の上にあるな。
特に出入りは制限されていないらしい。
さすがにドラゴンの姿だと街には入れないだろうが、今は少女姿だ。
問題なかろう。
門を通って街に入る。
特に何も言われなかったぞ。
おっ、なんだかうまそうな匂いがしてくるな。
「お嬢ちゃん。大串焼はどうかな。うまいぞ」
大き目の肉がガンガンガンと串に刺さってタレたっぷりかかっている。
それが火に炙られてすごくうまそうな匂いになっている。
「それをくれ」
「大銅貨1枚だよ」
「持ってない」
「じゃあ、ダメだ」
「大銅貨はどこでもらえるのか?」
「お嬢ちゃんが稼ぐってことか? うーん、そうだな。冒険者ギルドで薬草探しでもしたらどうだ」
「それはどこにある?」
街ではお金がないと何もできないと教えてもらった。
ダンジョンと違って強いだけではダメらしい。
まずはお金というものを手に入れるとしよう。
「いらっしゃいませ。って、子供じゃないの」
「ここならお金をくれると聞いたぞ」
「子供はダメよ。冒険者になれないわ」
「なぜだ? 私は強いぞ」
「うーん。じゃあこうしましょう。薬草を採ってきて頂戴。薬草をちゃんと採ってこれたら冒険者登録してあげるわ」
「それはいいな」
「薬草も買い取ってあげるから、お金も手に入るわ」
「薬草というのはなんだ?」
「ポーションになる草よ。あ、行っちゃった。ちゃんと薬草の形とか見なきゃ分からないでしょうに。
まぁいいか。子供の遊びよね、きっと」
☆ ☆ ☆
「エタドラ様。お持ちしました」
「ご苦労」
エタドラ娘は街の外で龍人に会っていた。
ダンジョンから薬草をもってきてもらったのだ。
龍人は飛竜に乗ってきたから、一時間もかからずエタドラ娘に薬草を届けることができた。
この薬草。
ダンジョンの深層階に自生する草で、やたらと魔力を吸収しているから強靭なものだ。
もちろん龍人の太刀はその薬草を根本からバッサリと断ち切ったが。
「これなら、きっと良いポーションがつくれるでしょう」
「そうか。それは良かった。これでお金というものが手に入るな」
50センチほどの籠に入った薬草たち。
もっとも、ひとつの種類ではなく多種多様だ。
ただし、どれも魔力を吸収しているという点では一緒だ。
「早速、冒険者ギルドのお姉さんに持っていこう」
☆ ☆ ☆
「なに、これ?」
籠に入った見たこともない草。
それも、草のはずなのに、うねうねと動いている気がする。
気のせいよね、きっと、と思っているギルドのおねぇさん。
「薬草だぞ」
「薬草じゃないわ。全然違う」
「そんなはずはない。これなら良いポーションが作れると言っていたぞ」
「誰がそんないい加減なことを?」
龍人が言っていた。
なんとことは言えないな。
「とにかく、ポーションを作れる人ならわかるはずだ」
「うーん。ちょっと待っていて」
おねぇさんは奥に引っ込んでしまった。
そして、ひとりの男を連れてきた。
「不思議な草ですと? これですか。確かに不思議ですな。見たこともない」
「お前はポーションを作れるのか?」
「私は鑑定士。だから、この草を鑑定できるんだ」
「それなら、やってくれ」
なにやら、呪文みたいなものを唱え始めた。
そのあと、籠に入った草をじーっと見ている。
「えっ、鑑定できない?」
「どういうこと?」
「私の鑑定レベルでは鑑定できないってことだから、高レベルなものなのは間違いない」
「なんだ、わからないのか?」
「困ったわ」
「誰かポーションを作れる人はいないのか?」
「あ、それならビーナス商会よね」
こうして、エタドラ娘とアキラは出会うことになった。
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