第4話 薬草・ケガ人・新作。大好きな試行錯誤をやってみた
ごめんなさい。先ほどアップしたのが昨日と同じでした。再アップです。
第4話 薬草・ケガ人・新作。大好きな試行錯誤をやってみた
雑貨屋から宿屋に帰ってきた。
「すごいにゃ。ポーション作れるの?」
「ああ。薬師だからな」
猫看板娘が感心している。
薬師はそれほどいないようだ。
「それなら、普通のポーションはつくらないのか?」
「えっと…できるかな」
作れるかどうかわからない。
だいたい、素材がないしな。
「薬草なら、集めてあげるから作ってくれないかにゃ。うちの宿に泊まる冒険者が欲しがるから」
「おーー。このあたりに薬草があるのか」
「秘密の場所があるんだにゃ」
どうなんだろう。
やってみないとわからないけど、薬草があれば、ちゃんとしたポーションができる気がする。
「試してみたい。薬草を探してくれないか」
「了解したにゃ」
そんな話をしながら、部屋に案内された。
その部屋は三帖くらいの狭い部屋で窓もない。
藁で作ったベッドがひとつ。
あとは何もない。
まぁ、この異世界ではこんなものか。
「じゃ、薬草探しに行ってくるにゃ。一時間後にまた来るにゃ」
「分かった。待っているぞ」
ただ、待っているのもつまらない。
昨日は微回復ポーションを10本作ったら寝てしまった。
それが今の俺が作れる限界なのかもしれない。
それなら薬草が来てからの余裕を残していないといけないから、5本だけ作ってみるか。
微回復ポーションになる草を袋から取り出す。
宿場町にくる途中で集めておいたものだ。
微回復ポーションに使えるかどうかは、触れてみればわかる。
だいたい4割くらいが使えて、草に触れると『微回復ポーション』と字が浮かびあがる。
「微回復ポーション!」
草を右手に持って声に出すと、左手にポーションが出来上がる。
だいたい時間にして30秒。
これを5回繰り返すだけだから、5分もあれば出来上がる。
「あ、そうだ。瓶があったんだ」
雑貨屋が交換でくれた空き瓶。
ポーションを買うとき、瓶と交換なら安く買えるらしい。
「だけど、俺だといらないんだけどな」
でも、瓶も作れるという話は内緒のほうがよさそうだ。
薬師はポーションだけ作るのが普通らしいからな。
「なら、瓶も持ってやってみたら、どうなるのか」
草と一緒に瓶を右手に持つ。
「微回復ポーション!」
今度は15秒で出来た。
右手の草と空き瓶がなくなって、左手に微回復ポーションの瓶。
瓶は俺が作った歪なものではなく、雑貨屋でもらった瓶だ。
この方が簡単に作れるな。
空き瓶の5本があるから、全部で6本作った。
あ、薬草が来るんだった。
その分空き瓶を残しておけばよかったな。
☆ ☆ ☆
「見つけてきたにゃ」
予定の1時間よりちょっと早く、猫看板娘が帰ってきた。
手には、草の束、ぜんぶで4束ある。
「それで普通のポーション作れるかにゃ?」
「やってみないと分からんぞ」
「そんにゃ~」
「どうしてそんなにポーションを欲しがるんだ?」
「実はにゃ」
猫獣人は語りだした。
今、この宿に一人の冒険者が泊まっているらしい。
剣士で魔物退治をしていて傷を負ってしまった。
仲間が医者を呼びに行っていて剣士は宿で休んでいる。
「だから。その傷が治るポーションが欲しいのにゃ」
「その剣士は、ただのお客ではないのか?」
「えっ。ただの客にゃ……だけど常連にゃ」
そうか。
常連の客のために、ポーションづくりの依頼か。
これは、ちゃんと作ってあげないといけないな。
薬草に触れてみた。
『小回復ポーション』
やった!
微じゃなくて小になったぞ。
これなら、ちゃんとしたポーションが作れるはずだ。
「これから作るから」
「あ、見ていちゃダメかにゃ」
「邪魔だから、部屋から出てもらおう」
猫看板娘は、スゴスゴと部屋から出て行った。
どうも、俺のポーションの作り方は普通ではないらしい。
誰かに見られないようにしなければいけないな。
薬草の束から1本抜き出して、瓶と一緒に右手に握る。
「小回復ポーション!」
あれ? ダメだ。
どうしてだろう。
薬草が足りないのかな。
2本、3本。
薬草を増やして3本で、左手にポーションが出来た。
今度は90秒もかかってしまった。
空き瓶も使わなかったし、仕方ないか。
「小回復ポーション!」
続けて作って5本できた。
まだ、薬草の束は1つと半分しか使っていない。
全部で13本分あるみたいだ。
ただ、ひとつ、困ったことがある。
ポーションの色が緑じゃなくて青。
色の濃さは雑貨屋で棚にあったポーションと一緒。
普通のポーションくらいの効果はありそうなんだけど。
1本の小回復ポーションを残して、袋にしまう。
もうちょっと大きな袋が欲しいな。
あとで雑貨屋で買ってこよう。
冒険者はこの4本のポーションで、どのくらい良くなるのかな。
わーい。ファンタジー転生ジャンル日間154位になりました。
ブクマをしてもらえると、すっごくうれしいです。