第45話 女奴隷・仲間・再会。そういえば似ているな
「それでは、マナポーションを早速作ってもらおうかな」
「はい」
暗いな、この女奴隷。
せっかく17歳で見た目もかわいいのに、とにかく暗い。
もったいないぞ。
「もっと明るく返事できないかな」
「ちょっとアキラ。それは無理じゃない?」
なぜか、ロザリアが反論してくる。
「なんでだよ」
「奴隷なのよ。元気なんてないのが普通よ」
「うちの奴隷はやたらと元気だぞ」
この前もメルにとっつかまって、新しい品質アップのやり方講座を受けさせられてしまった。
メルは新しい方法を見つけると、やたらと自慢したがる。
どうせ、薬師ではなくポーション師の俺には関係ないものなんだがな。
だけど、普通の薬師にはすごく役立ちそうだから、薬師を集めて講座をさせてやった。
元気にやっていたぞ。
「うちは例外よ。だいたい奴隷だろうが、契約だろうが区別していないでしょ」
「何言っているんだ? 奴隷は無給だぞ。金もらわずにしっかり働いてもらっているぞ」
「そんなの当たり前でしょ。そうじゃなくて食事だって休憩だって。同じ扱いだっていっているの」
「ちゃんとした扱いの方がよく働くから得だろ」
そういえば、この奴隷は暗いというより、びくびくしているな。
新しい主人に売られて、これからどんな生活が待っているか、恐れている感じだ。
「そうだな。まずは、仲間に紹介しようか。そうすれば、どんな仕事をさせられるのかわかるだろ」
「アキラにしてはいい案ね」
「なんだよ、アキラにしてはって」
「あら、気にしないで。行きましょう」
「おい、いくぞ」
「はい」
暗い表情のまま、新しい奴隷はついてきた。
命令されれば、ちゃんと動くらしい。
「この棟がこれからお前が働くアトリエだ」
「はい」
「仲間を紹介するぞ、おい。メル!」
奥で器具を使ってなにやら実験しているメルを呼んだ。
同じ奴隷同士、仲良くなってもらおう。
「えっ? 姉ちゃん?」
「メ、メルディーユなの?」
なんだ、知り合いか、ふたりは。
意外だな。
「うわっ、姉ちゃん。ここに来たんだ。よかった!」
「あなたもここにいたのね」
マナポーションが作れる薬師は、メルの姉ちゃんか。
だいたい、お前、メルディーユなんてしゃれた名前だったのか。
全く知らなかったな。
契約書、ちゃんと読んでなかったのかもな。
「ここはすごくいいとこよ。好きにポーションづくりさせてくれるし」
いや、一応、やり方は決まっているんだが。
それを守らないのは、お前ぐらいだよ。
変なこと、新人に教えるなよ。
「あ、姉ちゃん、マナポーション作れたよね。今度はちゃんと作り方、教えてよね」
「夢みたい。メルとまた、一緒にポーションづくりができるのね」
あ、リルが笑った。
うん、笑っている方が可愛いな。
メルとリル。
姉妹にして、俺の奴隷。
いいかもしれないな。
今日は新しい薬師奴隷、リルの歓迎のために、ちょっと夕食を豪華にしてやるとするか。




