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第41話 剣士・魔法使い・ポーション師。パーティで初ダンジョン

いよいよ、初ダンジョンに挑戦の日が来た。


「今日は第1層だけだが、いいか?」

「それでも約束のポーションはいただくぞ」

「もちろんだ」


大剣を背負っているのがラウル。

金属製の胸当てが傷だらけで歴戦の勇士を感じさせる。


もうひとりの剣士がサイモン。

彼は動きやすそうな鎖鎧で、盾と剣を持つ。

その剣は薄刃の鋼鉄製で普通の剣よりずいぶんと軽い。

スピードタイプの剣士だ。


真っ赤なローブを着こんでいるのがミック。

大きな赤い魔石が入った複雑にねじれた堅い木の杖をもっている。


そして俺。

軽いが丈夫な金属製の鎧。

武器はいちおう剣をもっているがどこまで使えるか不明だ。


「ダンジョン初心者だが、よろしく頼む」

「とにかく、前に出るな。第一層だからとなめてかかるとケガするぞ」

「わかった」


もちろん、前に出るなどとは考えたことはない。

暴力と無縁な人生を転生前は歩んできたのだ。

ケガならすぐにポーションで治せるが、痛みだけは避けられない。


「それじゃ入るぞ」


このパーティのダンジョン内でのリーダーはラウル。

全体の状況を見て、メンバーに指示を出す。

俺も指示に従わなければいけない。


ダンジョンの入り口は少しかがまなければ入れない洞穴だ。

少し行くと急に洞穴は広くなり楽に歩けるようになる。


ダンジョンの中はなぜか暗くない。

薄暗い程度なので、周りが見える。


「ダンジョンはね。魔素の濃度が高いの。魔素がぶつかりあって光を発するのよ」


ロザリアに聞いていたから、驚きはしないが不思議ではある。


「階層を下がっていくとね。魔素がより濃くなるから第7層になると昼間のようだというわ」


そこまでいくのは、いつの日になるか想像もできやしない。


ダンジョンの第一層を進んでいく。


先頭は探索スキルを持つサイモン。

続いてラウル、俺、ミックの順番だ。


「いるぞ」


サイモンが指さす方向に濃い緑色の何かが動く。

形はまだ良くわからない。


「あれは、ゴブリン、3匹だ。私が倒していいか?」


俺に確認をしてくる。


「頼んだ、サイモン。ひとりで大丈夫か?」


サイモンは驚いたような顔になった。


「冗談はよそうぜ。たかがゴブリン3匹」


そう応えるやいなや、ゴブリンに向かって走り出す。

ゴブリン達が気づいて、こん棒を振り上げる。


そんなことは全く気にせず、最短距離で近づく。

ざっ、ざっ、ずばっ。


肉を絶ち斬る音が3度したと思うと、3匹のゴブリンが光の粒子になる。


「あれが、魔物消滅か」


ロザリアから話は聞いていたが、実際に見ると不思議だ。


ダンジョンの中に住む魔物は命を絶たれると光の粒子になる。

そして、ダンジョンの壁に吸収される。


ゴブリンがいたところには、3つのグレーの石が落ちている。

魔石だ。


「初ダンジョンの記念にどうだ?」

「いいのか?」


サイモンが拾った3つの魔石を寄越してくる。

まぁ、この大きさの魔石だと大した価値はない。


「それじゃ、進んでいくぞ」

「待ってくれ」


ゴブリンがいたあたりをじぃーとみる。

やっぱり、何かある。


「なんだ?」

「あそこ。俺が行っても大丈夫か?」

「ああ。もうゴブリンはいないぞ」


それを聞いて安心して、ゴブリンがいた穴の中に入る。

そこには、輝いている草がある。


「ほう。そんなとこに魔草があるんですね」

「ああ。サインが見えたんでな」

「すげーな、兄ちゃん。普通はそんなとこにある魔草見つけられないぞ」


そんなことを言うラウルだが、魔草が一本だけだから、大したものではない。


「ダンジョンの調査だから、いちいち寄り道することもあるが」

「もちろんだ。それが今回の目的だから、他のことは気にするな」


初ダンジョンで初戦闘と初採取。


それをこなした後は、俺たちパーティは奥へと進んでいった。


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