第37話 原価・カラクリ・価格設定。マナポーション需要を広げる方法
「あれでよかったの?」
「ああ。最高だ」
マナポーションの販売価格は銀貨3枚に決まった。
ビーナス商会が卸すのが銀貨2枚と大銅貨4枚。
販売数は冒険者ギルドが80%、商業ギルドが20%だ。
なんといっても、冒険者の魔法使いの需要が多いから冒険者ギルドに多めに卸す。
そして、魔力草の買い取り価格が銀貨1枚。
ビーナス商会には、買い取り手数料として10%を冒険者ギルドに渡すから銀貨1枚と大銅貨1枚だ。
ビーナス商会はマナポーション1本作ると銀貨1枚と大銅貨3枚になる。
「だけど、この都市国家じゃアキラしか作れないんだから、もっと条件良くしたらいいのに」
「いいんだ。何よりも冒険者が魔力草を採取したくなるのが重要だ」
「それはそうだけど」
ロザリアは不満そうだ。
そこで、この取引のカラクリを披露した。
「実はな。俺がマナポーションを作るとな。マナポーション1本あたり魔力草が2本しか使わないんだ」
「ええっー、どういうこと?」
常識的には、魔力草10本1束でマナポーション1本。
だけど、俺だと同じ量でマナポーションが5本できてしまう。
魔力草1束を仕入れてマナポーション1本売って銀貨1枚と大銅貨3枚の収入になる。
しかし、本当はさらにマナポーション4本が手に入る。
「だけど、そんなにマナポーションを作っても、売れないでしょう」
「ああ。売りはしない」
「じゃあ、どうするのよ」
「俺と薬師たちで使うのさ」
「あっ!」
気が付いたみたいだな。
マナポーションさえあれば、魔力の補充ができる。
一人で生産できるポーションの量が増える。
「完璧だろう。そのうえ、冒険者の代表が言ってたじゃないか」
「ええ。マナポーションが安価で手に入ったら、魔法使い連れてダンジョンで魔力草を採取しまくるって」
「だろう。俺たちはきっと、魔力草が足りないって状態にはならないぞ」
元々、魔力草は1束大銅貨3枚にしかならなかった。
マナポーションが作れる薬師がいないから、乾燥させて別の都市国家に売るしかなかった。
乾燥させると質が落ちる上に輸送費もかかる。
いろいろなリスクもある。
大銅貨3枚にしかならないのもしかたがない。
それが銀貨1枚での買い取りに変わった。
冒険者のやる気が全く変わるだろう。
そのうえ、ダンジョンだと数多くの魔物に襲われる可能性がある。
そんなときに役立つのが魔法使いのエリア攻撃魔法。
ただし、魔力を大量に使うから、そう簡単に使えない。
それがマナポーションがあれば、魔力切れを回避できる。
今まではマナポーションがほとんど入ってこないうえに、値段も銀貨7枚もした。
贅沢品扱いだった。
それが銀貨3枚で手に入る。
魔法使いにとっては、ありがたい話だろう。
実際、この都市国家の魔法使い冒険者はそれほど多くなかった。
それはマナポーションが入手困難だったからだ。
これからは、冒険者魔法使いも増えるだろう。
とっても楽しみだ。
マナポーションを地産地消ができるだけで、冒険者とダンジョンの状況が大きく変わる。
面白いものだな。




