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第36話 青服・教会・お嬢様。魔霊退散って何ですか?

「そこのあなた!」

「へっ?」


冒険者ギルドから出てくると、いきなり女から声をかけられた。


その女、青い服を着ていて、頭も青いベールで被われている。

その隙間から見える髪は綺麗な蜂蜜色だ。

瞳もブルーで服といい感じにマッチしている。


その姿と時々見かける教会のシスターだ。

青服といえば聖職者とこの都市国家では決まっている。


「あなた、魔の存在に憑かれているわ。教会に来て祓いなさい」

「冗談じゃない」


教会みたいなとこは、転生前も転生後も無関係と決めているんだ。


「お嬢様の言うことが聞けないというのか!」

「そうだ。わざわざ声をかけてもらったのに生意気だ」


お嬢様?

シスターの間違いじゃないか。


後ろの二人の男も聖職者の青の制服を着てはいるが、教会の人間ではなさそうだ。

どちらかと言うと、護衛の人の感じだ。


「いいから、来なさい。捕まえなさい」

「「はいっ」」

「ちょ、ちょっと!」


捕まって無理やり教会に連れてこられた。

なんだって言うんだ。


教会は屋根が青色で、星形のシンボルが掲げられている。

転生前だと十字架のシンボルと同じ意味だろう。


「ほら、ここに跪いてよ」

「なんで、そんなことをしなきゃいけないだ」

「あんたが、余計なことをするから、教会に来る人が減ってしまったのよ」

「あ」


俺がポーション生産職だと知っているらしい。

たしかに、いい品質のポーションがあると、教会に回復の呪文を受けに来る人が減ってしまう。


「それは、迷惑をかけているみたいだな」

「分かったなら、跪いて、もうしないと懺悔しなさい」

「そんなこと、するか!」


俺はポーション師だ。

ポーションを作る生産職だ。

俺のポーションに負けて利用されなくなった教会は大した意味がないのだ。


「やっぱり魔の存在に憑かれているわ。今のうちに祓わないと大変なことになるわ」


こいつ、面倒くさいやつだ。

ここはひとつ、下手に出てやるか。


「分かった。これでお祓いをしてくれ」


金貨1枚出していった。

要は金なんだろ、もっともらしいことを言っても。


「分かってないようね。お金でなんとかしようなんて。魔に憑かれているのは明確ね」

「そうですとも、お嬢様。お祓いをしてやってください」

「分かったわ」


何やら、怪しい呪文を唱えだしたぞ。

何をしようとしているのか。

もしかして、やばい魔法なのか。


逃げようとしても、ふたりの男らがっちりと捕まっているから無理だ。


「魔霊退散」


やたらと大きな声で叫んだ。

だが……何も起きないんだが。


「ふぅ、どうかしら」

「どうって?」

「心の中が晴れやかになったでしょう?」

「えっ……まぁ、そんな気が」


ここは話を合わせる方がいいか。


「さすがです。お嬢様」

「素晴らしい聖なる力です」


男二人は絶賛している。


「ありがとう。これで助かった。ありがとうよ」

「では、寄進をここに」

「はぁ?」

「寄進だ、寄進」


要は寄付をしろと。

あまり関係したくないから、ここは従っておこう。


チャリン。

金貨を1枚入れてみた。


「また、困ったら教会にくるように」


くるかよ、と思いつつ。

俺は、その教会から逃げ出すように走り去った。


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