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第35話 採取・魔力草・儲け話。ギルマスの依頼とは?

「それで相談というのはな」


今や、冒険者ギルドで大人気のヒーリング・ポーション。

それを生産しているビーナス商会のロザリアとアキラ。


冒険者ギルドのギルマスから相談があるというので、冒険者ギルドの面談室に来ている。


「この草についてなんだがな」

「!」


あ、光った。

見たこともない草だから、新しいポーションが作れる可能性大だ。


「お、もしかしてわかるのか、この草のことが」

「知らないと言えば知らないし、知っていると言えば知っているし」


なんだかおかしな話になってしまった。

要は、この草が何か早く知りたいってことだ。


「この草はマナポーションの素材、魔力草だ」


うわっ、マナポーション。


ライトノベルによくでてくるポーションだ。

魔法使いの魔力を回復することができるものだ。


「ひとつ、もらいたいが」

「ちょっと待て。その前にこっちの依頼の話を聞いてくれ」


魔力草は、この都市国家から2時間くらいのダンジョンの中で採取できる。

ダンジョンに入れるのは中級以上の冒険者に限られる。

さらに、ダンジョンに関する依頼はそれほど多くない。


結果として、ダンジョンに入るのは冒険者の中でもごく一部だ。


「だから、たまにしか魔力草が入手できることはなかった」


そうか、レアな素材なのね。


「しかしだ。最近は魔力草の買い取りが増えてきた。ビーナス商会のおかげだ」

「どういうことでしょう?」

「ビーナス商会のポーションがあれば、ダンジョンに入って戦うことがしやすくなったのだ」


なるほど。

高品質なポーションが手頃な値段で手に入るのだ。

ダンジョンに持っていくことで、前よりダンジョンの先に進めるようになったということだな。


「それで相談なのだが。この魔力草を使ってマナポーションが作れないだろうか?」


そういうことか。

この都市国家にいる薬師は今、すべてビーナス商会の所属になっている。


しかし、マナポーションが作れるという話は聞いたことがない。


だから、もしこの都市国家で魔力草が入手できても、ここではマナポーションにすることはできない。


「今までは、乾燥させて行商人に売っていたのだ。それもあまり高くはなくな」

「それはもったいない」

「だろう。ここでマナポーションが作れれば、安く売る必要もないし、高いマナポーションを買う必要もない」


要はマナポーションの地産地消をしたいということか。


「もしかしたら、アキラさんならマナポーションを作れるのかもと思ってな」

「やってみます!」


新しいポーションが作れるチャンスは絶対逃さないぞ。


こうして魔力草を4束もらって帰ることになった。


 ☆  ☆  ☆


俺のアトリエに入って、まずは右手に魔力草を1本だけ載せてみる。


ポーション・スクリーンが表示された。


スキル1のところに新たな枠が表示された。

元々、スキル1には5つの枠があった。


[水][微回復][小回復][傷回復][美味]


すでに作ったことがポーションの名前が並んでいる。


その下にさらに5つの枠が増えた。

その真ん中の枠に[マナ]と表示させている。


ただし、字の色がグレーだ。

これは魔力草が足りないというサインだ。


右手の魔力草を2本に増やした。

よし、[小マナ]の字が白くなった。


「小マナポーション」


声に出して言うと、右手の魔力草が消えて左手に瓶が出てきた。

これが「マナポーション」か。


オレンジ色の液体が入っている。


小マナポーションの解説を読んでみると。


「このポーションを飲むと魔力を補充することができる」


うん、マナポーションで間違いないようだ。


マナポーションは魔法使いが使うポーションだ。

普通はな。


だけど、魔力を使う職業なら何でも使えるポーションだ。


例えば、薬師やポーション師。


ポーションを生産するためにも、魔力を使う。

だから、マナポーションがあると、1日に作れるポーションの数が増えるのだ。


「思いがけず、ポーション増産の手段が手に入ったようだ」



ただ、マナポーションを作るには、魔力草が必要だ。

ダンジョンに冒険者が入って採取してくれないと作れない。

もっと多くの魔力草が欲しい。


 ☆  ☆  ☆


「できました」

「できましたかっ」

「鑑定していいですか?」


ギルマスといつものギルド職員が俺を出迎えた。

マナポーションができたことを伝えると、すぐに鑑定の話になった。


「これがマナポーションだ。いただいた魔力草から4本のマナポーションができた」

「なんと、4本も。すると、まったく失敗しなかったということだな」


マッチョなギルマスが感心してくれた。

いや、本当はあと16本できたんだが、ちょっとごまかそうと4本だけ持ってきたんだが。


「どうして4本しかないのか」と問いただされたら「他は失敗した」とごまかすつもりだった。


そもそも、魔力草1束でマナポーション1本が標準なのね。


「それでは鑑定します」

「どうだ? 自信作なんだが」

「おおっ、すべて高品質と出ました」

「そうだろう」


いきなり作って高品質か。

ポーションスキルはとんでもないな。


「マナポーションを作ることができるということだな」

「もちろんだ。いくらでもつくるぞ」

「よし、魔力草を用意するから頼むぞ」


了解しようとした瞬間。

邪魔する声が入った。


「ちょっと待った!」


後から来る予定だったロザリアだ。


まずは技術的なことを決めるから、俺だけで良いと言ったんだが、心配だから後から参加すると言っていた。


「え? なんだ、ロザリア」

「マナポーションはそんなに簡単に制作契約はできないわ」

「どういうことだ?」

「冒険者ギルドと協業して、マナポーションを量産する体制をつくりましょう」


なんか、難しいことをロザリアが言い出した。

要は、儲け話になるということだな。


ロザリアのあの顔はビーナスポーション以来だな。

ロザリアと俺、あとは冒険者ギルドの主要スタッフ、そして冒険者代表も参加して検討することになった。


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