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第32話 増産・制約・新顧客。品質が良ければ売れるってことだな

冒険者ギルドに納入した次の日。

ビーナス商会でロザリアの出社を待っていると。


「大変です」


また、ロザリアが大騒ぎだ。


「今日はなんだ?」

「ポーションが無くなったわ」

「何、盗まれたのか?」

「違うわ。昨日冒険者ギルドのポーションが売り切れたの」

「まさか。120本だぞ」


普通だと50本だと言っていた。

それなのに、半日で120本完売なのか。


「だから、今日もできたら120本納入して欲しいって」

「それは無理だろう。50本は納入できるのか?」

「それは12時までならなんとか」


俺が作るって手もあるが。

それをすると超品質になるから避けたいな。


「まぁ、50本で勘弁してもらおう」


 ☆  ☆  ☆


「大変よ」


今日、2回目のロザリアの大変だ。

だんだんと慣れてきたぞ。


「それで、何が大変なのか?」

「オーナーのカターニャ伯爵から、ヒーリング・ポーションの生産は1日50本以上はダメだというの」

「なんだ? せっかく、さらに増産を考えていたのに」

「それがね」


ロザリアの話によるとこうだ。


元々は、ポーション販売はアルフォン商会の独占だった。


アルフォン商会のオーナー、アルフォン男爵が貴族のつながりでカターニャ伯爵に根回しをしたらしい。

それも、ほかの貴族も巻き込んで。


この都市国家のポーション需要は、1日100本。


だから、ポーション株を持つ、アルフォン商会とビーナス商会で50本づつで固定しようと。


「要は談合ってことか。しかし、カターニャ伯爵はよく飲んだな」

「あまり普通のポーションに興味がないみたい。新しいポーションは興味深々だけど」


あー。

たしかに、ポーション株を取得したのは、ビーナスポーションがきっかけだった。


俺的には、ヒーリングポーション売買のためだったけどね。

カターニャ伯爵は新ポーションを見て取得したんだろうな。


「しかし、参ったな。ギルドからは100本と言ってくるのに、上で50本と言われてしまったらな」

「商売的には、アルフォン商会に負ける気なんてないけど、貴族が絡むと難しいわね」


結局、どうせ今は50本しか作れないから、増産計画は無しということで決まった。


 ☆  ☆  ☆


「大変よ!」


今日、3度めのロザリア大変、だ。


「それでどうした?」

「商業ギルドからポーションの納入依頼よ」

「なんだって?」


ここんとこ、露店もお休みして、冒険者ギルド向けポーションを作っていた。

だから、冒険者以外はうちのポーションを買うルートがなくなってしまった。


露店で買っていた冒険者以外の街民は露店があった武器屋に文句を言ったらしい。

それが、商業ギルドに伝わって、露店ではなく商業ギルドに登録されている商店で扱う話になったらしい。


「それで、どのくらい欲しいと言っているんだ?」

「1日50本よ」

「おいおい、どうしろというんだ?」


1日50本しか作るな、という貴族。

1日100本寄越せという冒険者ギルド。

1日50本欲しいという商業ギルド。


需要と供給が全然合っていないじゃないか。


どうしたらいいんだ!


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