表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/70

第30話 新アトリエ・品質・競争。ポーションは仲間と作ると楽しいぞ

今日は3本更新です。これが2本です。

「ここが君たちのアトリエだ」


今まで、薬師はそれぞれ自分のとこでポーションづくりをしていた。

だけど、バラバラに作っていると品質管理がしづらいというので、大きなアトリエを用意してそこでポーションづくりをすることにした。

薬師奴隷も増えたし、どうせアトリエが必要だからね。


場所は貧民街のハズレ。

もっといい場所も探したんだけど、薬師アトリエと言うと貸主に嫌がられる。

臭いが出るから仕方ないな。


貧民街のハズレにある2階建てアパート。

住んでいた人は別のアパートに移転した。


そのアパートを改装して、上は薬師や奴隷が住む部屋、下が大きなアトリエにした。

薬師の道具は、中古のものを集めてきた。


薬師は、奴隷が1人で普通のが2人の3人。


他にルティの友達の男女の子供が薬師見習い兼お手伝いとして5人ほど。

親がいない子も多く、住むとこがない子は2階に住まわせることにした。


「それでは、新しい3人の薬師技術をテストするぞ。テストの結果でチーム分けするからな」


薬師3人をリーダーにして3チームに分ける。

見習いも1人か2人に分けて3チームに振り分ける。


「まずは、元々うちで働いていた2人のうち、一番優秀な薬師が手本を見せる。うちのやり方を理解してくれ」


うちのトップは薬師おばば。

経験豊富だから、手際がいい。


「それじゃ、やるぞい」


薬草を1束を手に取ると流れるような手際の良さでポーション作りが始まる。


「そんなに薬草入れていいの?」


奴隷少女のメルが声をあげる。


「ああ、うちのやり方はこれだ」

「そんなに入れたら品質が良くなりすぎるわ」

「品質は良ければ良いほどいい」


品質向上を目指さない生産職はゴミだ。


それがうちのモットーだ。


「だけど、それじゃコストが」


新しい薬師が文句を言っている。


「コストはちゃんと計算済みだ、心配するな」


「おおーーー」


薬師おはばが、ポーションを1本完成させた。

うん、いつもながら安定の品質だ。


「次、新人の薬師、やってみてくれ」


「いくわよ」


また、俺のことを睨んだ。

こいつ、なんか俺に恨みでもあるんかいな。


「材料は、これと、これと・・・」


なんだ? やたらと薬草も選ぶのに時間をかけている。

あちこちの薬草の束から数本抜いて、一束分くらい集めた。


「自分のやり方でいいのよね」

「おお。やってみろ」


おや、やり方が違う。

まず、薬草の根本を切って水に浸しているな。


そんなことは他の薬師はやっていないな。


そこから、おおざっぱにカット。

ここは同じだな。


その後も、手順がちょこちょこ違っていた。


しかし、最後にはポーションが完成。

なんか、品質がいいぞ。


「おや、うちのおばばより、いいのを作りやがったな」

「どう? 本気で作れば、誰にも負けないわ」


また、俺のことを睨んでくる。

そうか、こいつ。

俺も薬師だと思って対抗意識を持ってやがるな。


「品質の高いのを作るのに手間を惜しまないのは素晴らしい、ただな」

「何よ。やっぱり数を作るのが重要というの?」


あ、こいつ。

俺と同じ生産職プライドもってやがるな。

だから、金にならなくて奴隷落ちしたのか。


「いや、そんなくらいの品質でドヤ顔されてもな、って話だ」

「何? あんたなら、アタイよりいいのが作れるっていうの?」

「もちろんだ」

「なら、見せてよ」


作るところを見せる訳にはいかない。

右手に薬草、ポン、ヒーリングポーション、だからな。


「作るところは見せられない。秘伝だからな」

「じゃあ、できたのを見せてみろよ」

「分かった」


前に作った傷回復ポーションを見習い少年にもってこさせた。

作り方は違うが、物は一緒だ。


「!」


ふふふ。驚いただろう。

お前の作ったのが、高級国産車だとすると、俺のは何千万円もする高級外車だからな。


「ど、どうやって、これができるの?」

「それは秘密だ」

「盗んでやる! 絶対盗んでやる!」


やっぱり睨まれてしまった。

まぁ、やる気があるということでよかろう。


「お前は第3チームのリーダーだ」

「ええっ」


メルが驚いている。


第1チームと第2チームのリーダーは、おはばともうひとりのベテラン薬師だ。

第3チームのリーダーがメル。


「お前の作ったポーションは俺以外ならピカ一だ」

「だけど、奴隷よ、アタイは」

「関係ない。良いポーションを作る者がリーダーだ。もっとも、他の者がお前以上のを作ったらリーダー交代だ」

「させるかよ!」


いい感じだ。

こいつの存在で、チームでの対抗意識があがりそうだ。


「それじゃ3日後までに日産50本を目指すぞ。ただし質は落とすな!」


さてさて、どうなるか。

楽しみだ。


ポーションの作り方が変わってきたぞ。


家内制手工業に進化したね。


面白いと思ったら、ブクマや↓で評価してくれると、うれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ