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第25話 楽隊・割引・特別サービス。ポーション販売バトルが始まった

「明日16時に開店するみたいだわ」

「やっぱり夕方狙いか」


ロザリアとふたりで、露店の視察にきた。


バカディのポーション露店はもう準備に入っている。

露店と言っても、しっかりとした作りで大工が工事していて、飾りつけが豪華だ。


「あいつ。豪華主義みたい。派手好きね。行進楽隊も使ってるわ」

「俺も、宣伝している行進楽隊をみたぞ」


楽隊というのは、チンドン屋だな。

こっちの言葉だと行進楽隊というのか。


「冒険者に聞いてみたら、噂になっているみたい。2割引きだというので」

「うちは下げないぞ。品質勝負だ」

「だけど、大丈夫かしら」

「何、商売繁盛アロマがあるさ。他にも考えたんだが」

「何?」

「総合回復ポーションを銀貨3枚、ビーナスとマルスを金貨3枚で並べる」

「そんなに高いの、露店で売れるかしら」

「うちは高級路線だ。露店はショボイけど」

「そうね」


残念ながら、露店の高級化は当分無理そうだ。

赤字続きじゃね。


「あと、もうひとつ。怪我人限定半額サービスを先着3名でやるぞ」

「なに、それ?」

「試食みたいなものだ。怪我人がすぐに使う場合だけ半額で販売する」

「あ、それいい。使ってみてもらえば、間違いなく品質の良さが分かるわ」


作戦はしっかりと立てた。

後は、結果を見るだけだ。


 ☆  ☆  ☆


「本日開店、アルフォンポーション店だよ。開店記念でポーション2割引き。売切れたら買えないよ」


隣のポーション露店は楽隊もいて、派手にやっている。


こっちも今日は、ルティだけでなくロザリアも店に立っている。


「ポーションを見ていって。うちのポーションは他とは違うよ」


ロザリアが声を上げているけど、完全にあっちに負けているな。

そういう俺はふたつの露店の向かいの茶店でお茶を飲んでいる。

まだ、本気を出すタイミングを相手の状況を冷静にみて判断しようと思っている。


「おや、ここにいたんだな。同席してもいいかな」

「これはバカディさん。どうぞ」


ニヤニヤした顔で寄ってきた。

圧倒的勝利を確信している顔だな。


本当にそうなるのかな。


「おたくのお店。お客がいないな」

「そういうおたくは、大人気じゃないか」

「まぁな。こんなもんよ」


やはり開店というのと、2割引き、そして楽隊効果でバカディの露店ばかりに客が行っている。


「まぁ、経験の違いだな。ポーションを売るというのはこういうことだ」

「さて、どのくらい続くのかな」

「負け惜しみを言うな。どうみても勝負は決まったようなもんだ」

「それはどうかな」


客の動きをみていると、バカディの露店だけを見ている客が多いが、中にはうちの店も見て比較している客もいる。

だんだんと夕方になってきて、冒険者らしい人たちが集まってきている。


この街の冒険者はギルド登録しているだけで120人ほどいる。

冒険者は依頼をこなして報告するとだいたいこの時間になる。


特に今日は新しい露店が開店するという噂が流れていた。

気になって見に来る冒険者が多いだろう。


良い頃合いかな。

よし、いってみるか。


ロザリアにブロックサインを出す。

うん、伝わった。


ロザリアが商売繁盛アロマを露店の右、左、真ん中とたらす。


このアロマは香りを通して直接脳を刺激する効果があるらしい。

無意識で引き付ける効果があると説明書に書いてあった。


「おや、だんだんとうちの方にもお客さんが増えてきたようだな」

「そんなバカな。そっちにいくはずが・・・んん?」


まだ、バカティの露店の方がお客が集まっているが、こっちの露店も増えてきている。

おっ、ケガをしている冒険者が来たな。


もうひとつブロックサインを送る。

いよいよ、本気のバトルだ。


「今日、来てくれた方のうち、実際にケガしている方限定で半額よ」


ロザリアは「怪我人半額」と大きく書いた垂れ幕を広げた。


すぐに怪我人が反応しているぞ。

しめしめ。


「おやおや。そう来たか。すぐに必要なお客だけを狙う作戦か。しかし、半額では大して儲からないだろ」

「それはどうかな」


まだ余裕があるな、こいつ。


「怪我人さん、ヒーリングポーションお買い上げありがとうございます。半額のうえに私の施術サービスをします」


ロザリアが大きな声で言う。


おっと、一気にお客さんの注目を浴びたぞ。

半額というのと、美女のロザリアが施術するってことが。


ロザリアは今日のために2本目のビーナスポーションを飲んでいる。


ビーナスポーションは、1カ月効果が続くが飲んだ当日は最高の効果を発揮する。

そのうえ、商売繁盛アロマの効果もあって、本当のビーナスのようだ。


背中に傷を負った剣士さん。

嬉しそうに、革鎧を外している。


まずはロザリアが優しく傷口を確認している。

そのうえで、ヒーリング・ポーションを手渡している。


「そろそろ、はじまるな」

「たかがヒーリングポーション。大した効果はないだろ」

「どうかな。俺たちも見学してみるか」


バカディと一緒に店を出て見物客の後ろに立つ。

人が集まってきているから、近づかないと見えない。


人だかりというのは、さらに人を集めるもの。


大勢の見物客の前で剣士はポーションを飲んだ。


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