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第1話 荒野・熱気・水。俺は逆境でも生き抜いてやる

続いて投稿。あと2話、今日投稿する予定です。

「熱い!」


俺はじりじりと照り付ける太陽の熱さに耐えきれず目を覚ました。


「どこだ、ここは」


《究極の匠》……違う、女神だ!


「特別スキルだ!」


思い出した。過去転生で特別スキル。

ポーション。。。


結局、ポーションスキルをもらったのか?


しかし、熱い。


暑いどころじゃなくて熱い。

気温は40度は余裕で超えているな。


このまま、じゃまずい。

日陰を探さないと。


周りを見渡した。


「なんだ、ここは!」


360度、見渡す限り荒野が広がる。


赤い土に、赤い岩。

サボテンすら見当たらない不毛の荒野。


「おい、女神アテナ! ひどいとこに転生させやがったな!!」


参った。このまま、干上がってしまって終わりなのか?

とにかく水を探さなきゃ。


水…水……。


「こんな荒野のど真ん中に水があるはずない!」


女神アテナ、恨むぞ。

生産職には興味がないからと言って、こんな所に放りだすなんて。

それも、ろくなスキルをもらえないまま。


あ、スキル。

たしかひとつだけもらった。


「ポーション!」


もらったはずのポーションスキルを発動してみよう。


手を高く上げて、ポーションと声を上げてみた。


すると。


目の前に文字が浮かび上がる。

長方形に囲まれた文字が。


『ポーション(水)』


ん? これは、なんだ。

要はポーションを作るスキルか。


声に出してみた。

「ポーション(水)」


しばらくすると、左手が明るい光で光りだす。

光が収まってくると左手に違和感がある。


「おっ、何かもっている」


左手を開いてみた。

手の平には、小さなコルク蓋のガラス容器。


瓶というより、短い試験管?

それもガラスが分厚くて形が歪んでいる。


まぁ、異世界だからこんなものなのか?


容量は、だいたい50ccくらいで、液体が入っているようだ。


「これはもしかして、ポーションか?」


どんな効果があるのかはわからない。

もしかしたら、すっごい回復ポーションだったりして。


効果はわからないから、飲んでみた。

ポーションの効果はすぐに分かったぞ。


喉の渇きを回復するポーション。


というか、水…ただの水。


ポーション(水)、というのは、ただの水。

50ccの容器入り水を作るもの。


「使えないな」


と、一瞬思ったけど、思い直した。


「いや、今は一番必要かも」


だだっ広い荒野の中で水。

これは間違いなく貴重だ。


俺はポーション(水)を作りまくった。


 ☆   ☆   ☆


調べてみたけど、俺が作れるのは、ポーション(水)だけ。


何が特別スキルだ。

ただの普通のスキルじゃないか。


それもハズレスキル。


女神アテナめ。

結局、余っていたスキルを押し付けやがって。


それも、こんな荒野に送り込むなんて、なんてブラックな女神なんだ。

よし、あいつのことを俺は、ブラック女神とこれからは呼ぼう。


「ブラック女神よ。俺はあきらめないからな!」


荒野でひとり叫んだら、少しは気が晴れた。

まずは、現状を確認しよう。


今、着ているのは麻みたいな植物で作られた布の服。


ドラ〇エなら、旅人の服とか言いそうだなぁ。

筒状になった上の部分と両肩の部分に穴が開いているだけ。

ベルト代わりの腰ひもがあり、マントが1枚ついている。

靴はわら製のサンダルか。


どうも、この世界の基本的な服のようだ。


少なくても、転生前のユ〇クロじゃないだけ、ブラック女神に感謝だな。

この世界の人に会っても怪しまれないだろう。


腰にはポーチみたいな袋がついて、中身はこんな感じだ。


・小さいナイフ

・3mくらいのロープ

・500ccくらいの水筒と水

・黒パン2つ

・火打石

・銀貨が3枚


これまた旅人セットという感じだ。


せっかくポーション(水)で水をたくさん出したのに、ちゃんと水筒をもっていた。

いらなかったじゃないか。

もっとも、500ccの水ではすぐなくなってしまうから、水を作れるのはありがたいが。


荒野を太陽を背にして歩いていく。

もう2時間も歩いただろうか。


その間で初めて草が生えている岩があった。

それも、ひょろっとした細い草が10本くらい。


「もしかしたら、これはポーションの原料になるかもしれない」


ポーション(水)しか作れないのは、原料がないからかもしれない。

薬草があったら、回復ポーションも作れるのかも。


そう信じて、ポーションスキルにもうちょっと期待をしてみた。


だって、ポーション(水)しか作れなかったら、これからどうやって生きていけばよいんだ?

この世界のなんの知識もない。

戦闘スキルも何もない。


ポーションという謎スキルしかない俺。

仮に街が見つかっても生きていくスベはなさそうだ。


やっぱり、抵抗しないで「賢者」か「剣聖」をもらっておいたら良かったか。

チートスキルなのは間違いないのにな。


ゲーム感覚で生産職を希望してしまったのは失敗だったか。

生きていくために役立つスキルをもらっておいたら良かったか。


そんなこれからの生活が見えないで弱気になっていたら、また目の前に文字が浮かびあがってきた。


「えっ、なんだ?」


浮かび上がった文字はこれ。


『ポーション(微回復)』


えっ、回復だって?

なぜ急にそんなのが浮かび上がってきたのか。


もしかしたら、こいつか?


右手は岩に生えているひょろっとした草を触っている。


試しに触るのをやめてみた。

浮かび上がった文字は消えた。


「よし、やってみよう! ポーション微回復」


右手に草を一本もって叫んでみた。


左手が光りだして何かが手の中に生成された。

左手を開いてみたら、先ほどと同じ歪んだコルク瓶。


ただ、中の液体はごく薄い青色をしている。


「やった! 回復ポーションができた」


微回復といえども、ちゃんと回復ポーションだ。

街に行けば、きっと買い取ってくれるとこもあるはずだ。


これは期待が持てるようになったぞ。


微回復のポーションは早速飲んでみた。

足取りが軽くなった…気がする。


よく効果はわからないけど、そういうことにしておこう。


太陽を背にして歩いていくと、道らしきところを見つけた。

そこだけちょっと色が違う。


これは道だろう。

きっとそうだ。


この道を歩いていくと街に着くはずだ。

そう信じて歩いていく。


歩いていく。

歩いていく。


もう日が沈むという夕方になって、やっと集落らしき場所に着いた。


おっ、人がいるらしい。




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