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第12話 婦人・オークション・子供服。なんかお金持ちになったぞ

昨日は真面目にポーションづくりをしてみた。


追加で案内少女に買ってきてもらったムムの実を素材にビーナスポーションを2つ。

買ってきた薬草で小回復ポーションを15本。

小回復ポーションの在庫は、60本になったぞ。


他にも雑草で微回復ポーションを20本作った。こっちの在庫は30本ほどある。

できれば、主商品の小回復ポーションが売れたらいいんだが。


真面目にポーションづくりをしたから、ぐっすり寝ていた。


「お客様。少々よろしいですか?」


部屋のドアをノックする音で目が覚めた。

あの声はコンシェルジュさんだろう。


コンシェルジュさんは高いホテルの人だけあって、有能で美人だ。

背が高くてすらっとした秘書風の見た目。


朝から、秘書風のコンシェルジュさんの声で起こされるのは、ちょっといい気分だ。


「はい?」

「あ、よかった。ちょっといいですか?」

「なんでしょう」

「お客様にぜひ会いたいという方が来ているんですが」

「どなたですか?」

「ええと。全部で6人くらいのご婦人です」


ご婦人という単語は一般用語でおばさんってことか。

6人もおばさんが会いに来ている。

全く身に覚えがないんだが。


「えっと、ルティさんの紹介だと言ってます」

「知らないな、そんな名前の人は」

「あ、ルティはいつもお客さんが一緒にいる少女です」


案内少女はルティという名前だったのか。

そういえば、聞いてなかったな。


「それでルティ紹介のおばさん連中は何の用だというのか?」

「なんでも、ルティさんが使った化粧品を買いたいと言っていて」

「おおおー」


なんと、すごいじゃないか、ルティよ。

お客さんをみつけてくれたみたいだな。

それも6人も。


「よろしかったら、商談ルームを使いますか? 10人くらいが座れる部屋ですが」

「ああ。そこに顧客を通しておいてくれ。10分くらいでいく」


さすがに寝起きの顔ではいけないな。

これから定期購入の顧客になってくれるかもしれないしな。


いくらの値段を付けたらいいのか。

原価はムムの実1個で大銅貨1枚か。


飲食店の原価は1/3までに抑えろというから、大銅貨3枚以上で売らないとな。


いや待てよ。

小回復ポーションは薬草数本だから、原価が銅貨3枚で銀貨3枚になっている。

なんと、原価率1/100じゃないか。


それなら、原価がかかっているビーナスポーションはもっと高くてもいいか。

同じ銀貨3枚にするか。


さすがにそれは無理か。

片やひん死の怪我人が3本で全開するポーションだからな。

いくら効果があるといっても化粧品に過ぎないからな。


決めた。

値段はお客さんに決めてもらおう。

最低は銀貨1枚。

それ以上はオークションだ。


値段が決まったから身支度をしないとな。


ひげをナイフで剃って、髪の寝ぐせを直して着替えて。

うん、いいか。


相変わらず旅人の服だからぱっとしないけど、行ってみようか。


 ☆  ☆  ☆


「はい。ビーナスポーションはここに2本あります」

「買うわ。全部」

「ちょっと待ってよ、勝手なこと言わないで!」


商談ルームは大変なことになっている。

女3人で姦しいというくらいだから6人だとすごいことになる。

それも、一番騒がしいおば様6人だ。


いくら防音効果があるという商談ルームであっても、迷惑になりそうだな。


「お静かに。ビーナスポーションはここに2本だけあります。誰が買うかはオークション形式で決まります。

高い値段を提示してくれた方2人です」


「私は銀貨3枚で2本買うわ」

「冗談じゃない。銀貨5枚よ」

「銀貨6枚」


すごいな。あっという間に小回復ポーションの倍値か。

このおばさん連中は、ルティが時々雑用をしているお店や家のおばさん達らしい。

そこそこの小金持ちの奥さんが来ているみたいだ。

綺麗になったルティをみてビーナスポーションのことを知ったらしい。


「銀貨9枚よ」

「もうめんどくさいわ。金貨1枚。それで私に決定ね」


とうとう金貨が出てきたか。

すごいな、ビーナスポーション。


結局、2本で金貨1枚と銀貨9枚で売れた。


「次はいつ、入荷するの?」


っていうから、夕方に2本だけ入荷すると伝えておいた。

この商談ルームで、またオークションで売り出すと。


「次は絶対、逃さないわ。もっとお金もってくるから」


買えなかったおばさんは、そんな捨てセリフを残して帰っていった。



 ☆  ☆  ☆


「私、これ、着てみる」


ルティと一緒に庶民用の子供服のお店に来ている。

思いがけずに、高く売れたから、お客さんを紹介してくれたお礼でルティに服を買ってやることになったのだ。


ただ、こんなに小さい子でも、女だったのね。

買い物に時間がかかること。


何件目だよ、ここ。


「どう? かわいい?」


うわっ、かわいいぞ。

白くてふわふわしたその服、天使ぽいな。


もうちょっと大きかったら惚れてしまいそうだ。


「それがいいぞ。決定だ」

「えっ待ってよ」


待たない。

お金を払ってしまおう。


「ありがとうございました」


全部で銀貨3枚。

意外と高いな服は。


別に高級店という訳ではない。

庶民のちょっとおしゃれな服を扱っている店だ。


ユニクロみたいな量産品になれた俺からしたら、もっと安くてもいいと思うが、大量生産ができない異世界では仕方ないみたいだ。


貧乏人は古着屋で買うのが普通だという。

今回はお礼だから、奮発したんだ。


「かわいい服をありがとう。うれしい」

「喜んでくれてよかった」

「また、おばさん紹介するね」

「おばさんでなくてもいいんだが」


正直もっと若い女性のお客さんを紹介してくれないかな。

まぁ、売れるのはうれしいが。


 ☆  ☆  ☆


「金貨1枚よ!」

「私は金貨1枚と銀貨1枚」


夕方のビーナスポーションの即売会は大変なことになった。

朝買ったおばさま2人がすぐにビーナスポーションを飲んで、綺麗になった自分を自慢するためにあちこち行ったらしい。


「ええっー、別人みたい。何をしたの?」


あっという間におばさま連中の間でビーナスポーションが有名になってしまった。

夕方に来たのは、朝買えなかったおばさま4人だけじゃなくて、18人にもなった。


急遽、大商談ルームを用意してもらって3本のビーナスポーションをめぐってオークションが始まった。


その結果。

2本のビーナスポーションの売り上げは金貨2枚と銀貨6枚というとんでもないものになった。


 ☆  ☆  ☆


なんか、すごいことになったな。

今日1日で、金貨4枚と銀貨4枚の売り上げだ。


明日もビーナスポーションを3本売り出すことにした。


ただこれ以上オークションで値段が吊り上がるのもやばいと思って、金貨1枚の定価をつけた。

どうみても、3人以上買いにくるだろうから、抽選制にした。


これで毎日金貨3枚の売り上げ。


生活に困らないというより、ウハウハ状態だな。



しかし、すでにこの時、裏で陰謀が起きているとは……


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