第9話 冒険者ギルド・コンシェルジュ・買い取り。街の奴らは冷たい
「ふわぁ~。寝たなぁ~」
ふっかふかのベッドだから、ぐっすり安眠した。
たぶん寝たのが夜の7時くらいで、今はもう10時くらいだ。
時計がないから、正確にはわからないけど。
いつか時計を作ってみたいな。
「なんだ、これは!」
なんて異世界の人をびっくりさせてみたいな。
あ、ポーションしか作れないのか…残念。
さて、今日はポーションを売りにいかないとな。
この街の住人は正式登録されている市民が3000人もいると言う。
旅人や勝手に住み着いている貧民は登録外だから、実際はもっといるらしい。
それだけいれば、総合回復ポーションの需要もあるだろう。
薬草をどこかで手に入れて、毎日20本くらい作って売っても、供給過多にはならないはずだ。
まずは、売り先を決めないとな。
やっぱり、こういうときは冒険者ギルドでしょう。
ということで、冒険者ギルドに向かっている。
連れは、薄汚れた少女だ。
「今日はどこ行きたいの?」
「冒険者ギルドだ。場所はわかっているから、案内はいらないぞ」
「そんなぁ。。。」
案内しておやつバーをもらおうと思ったんだな。
そんなに世の中甘くはないぞ。
ホテルのコンシェルジュに注意されたんだ、昨日。
「そこらにいる子供は注意してくださいね。だまして変なとこに連れて行ったり、荷物を奪って逃げたりしますから」
子供はかわいいとか思っていたら、危ないらしい。
できるだけ関わらないようにしないとな。
「おにぃちゃん。どこいくの?」
「だから、冒険者ギルドだっていったろ」
「でも、向かっているの逆方向だよ」
「・・・」
忘れていた。
俺は極度の方向音痴だった。
冒険者ギルドの行き方はコンシェルジュに聞いたけど、行きつけないらしい。
「・・・案内してくれ」
「はいっ」
手を出してくる。
わかっているよ、おやつバー。
2つ載せてあげる。
「これしかないからな」
「ありがとう」
こうして、順調に冒険者ギルドに着いた。
今日は総合回復ポーションを20本もってきた。
これが銀貨3本で売れれば、金貨6枚になる。
それだけあれば、まぁ、贅沢なホテルに泊まってうまいもの食っても5日くらいはもつだろう。
冒険者ギルドは、赤レンガで作られた建物だ。
入口を入ったらすぐ受付みたいなとこがあって、受付嬢がふたりいる。
奥は壁に掲示板がずらっとならんだ小ホールになっている。
掲示板に貼ってあるのは、依頼の紙のようだ。
そらにその奥には、居酒屋になっているみたいでいかにも冒険者という男女が食事をしている。
案内してくれた少女は建物には入れないとみえて、「ばいばい」って言って去っていった。
「こんにちは」
左の受付嬢に声をかけてみた。
受付嬢はふたりともきれいな人だけど、こっちの受付嬢の方が好みだ。
「はい。どんなご用件ですか?」
「ポーションの買い取りをして欲しいんだが」
「ポーション買い取り? ここで買ったポーションですか?」
「いえ。自分で作ったんだが」
「あー、それなら、ここでは買い取りはできません」
「えっ。ダメなのか?」
「ポーションの取り扱いは資格がある者しかできない決まりになっています」
言葉は丁寧だけど、表情はちょっとバカにした感じがある。
田舎もんとしてみられたのかも。
「では、どこで買い取りしてくれるのか?」
「アルフォン商会のお店ですね。ポーションの売買はほとんどがそこです」
アルフォン商店の行き方を聞いた。
だけど、行きつける自信がないな。
「こんどはどこいくの?」
うーん、こいつは便利かも。
まぁ、案内役だな、こいつは。
しかし、もうおやつバーはないな。
「アルフォン商店にいきたい。わかるか?」
連れていってもらった。
途中の露店でおやつ包みを買った。
竹の皮で包んてあって、中に麦飯と果物が入っていて超甘いやつ。
おやつバーの代わりだ。
アルフォン商店は、でかい店だった。
大理石みたいな白く光沢がある石材で作られた3階建ての店。
商業地区の中心ロータリーにある。
入口を入ったとこに案内嬢がいる。
「ポーションを売りたいんだが」
「買い取りなら、裏口よ」
ぶっきらぽうに言われてむっとした。
だけど、むっとしたのはそれだけじゃなかった。