プロローグ 隕石・女神・ポーション。ただしチェンジは無し
なろう本格的に参加して1年になりました。
3カ月ぶりに新しいのを書きます。
土魔法の第2巻が発売決定しています。
これも書籍化したらいいなぁー。
「ショウに《究極の匠》の称号を授与する」
とうとう、やったぞ。
『ファンタジー大陸・オンライン』で、生産職の最高称号《究極の匠》を獲得した。
いやぁ、長かった。
とにかく工作系から採取系、錬金系と多岐にわたる生産スキルを上げまくって、
やっと到達した称号だ。
《究極の匠》を持つのは、現在は俺だけだとアナウンスがあった。
どんな効果があるのか。
それを調べるのが楽しみだ。
まずは、一番簡単なポーションづくりをしてみるぞ。
普通にポーションを作るつもりが究極ポーション「エリクサー」が出来てしまったりするのかな。
いざ、行かん。生産の王道を!
しかし、称号《究極の匠》をもつネットの世界ではなく、ニート状態でゲームをしている
アキラの身に不運が訪れようとしていた。
天空から隕石がひとつ、落ちてきていた。
上空でいくつかに割れ、ひとつひとつ燃え尽きていく。
たったひとつ、大き目だった隕石は燃え尽きずに地上に落ちてきた。
大きな炎を纏まとい、轟音をさせながら。
まさに、アキラが住んでいる家の真上に落ちた。
そして、息絶えたのだった。
☆ ☆ ☆
「わかった。要は異世界転生だということだな」
「はい。その通りよ。あなたの場合は宇宙の法則に関わった死だから、特別スキルが与えられるわ」
「よし! 隕石で死んだかいがあったな」
不幸な事故死。
まぁ、ニートでゲーム三昧だった前世にそれほどの価値は感じていない。
しかし、称号《究極の匠》を得た瞬間に死んでしまったのは悔いが残る。
だけど、異世界転生! 女神!! そして特別スキル!!!
異世界で究極の匠を目指せばいいだけ。
「うん、いいな。特別スキル。とにかくチートをくれ。そうだな。なんでも生産できるチートがいいな」
「それなら、賢者ね。賢者なら魔法使い放題よ」
「おおー、賢者。錬金術を使って……」
「それは、無理」
「なんでだ?」
「錬金術は錬金術師よ」
「じゃあ、そっちで」
「それは私の担当じゃないわ」
「うーむ。じゃあ他にチートはないのか」
「剣聖はどう? 戦いにおいては負けないわ」
「却下」
だから戦いじゃなくて、生産職なんだって。
もっといろいろとすごいのを作れるのがいい。
そう思って、特別スキルのすり合わせを女神とし続けた。
だけど、なぜか、合わない。
「だから、そういう攻撃的なチートじゃなくて、生産的なチートが欲しいんだ」
「あー、それだと私の担当から外れるわね」
「お前、女神なんだろう? なぜ、生産チートがないんだ?」
「私は女神アテナ。戦いの女神よ」
「うわ、ハズレ女神!」
「何を言うの? 異世界転生者に一番人気の女神よ。大当たりよ」
「だったら、生産チートを寄越せよ」
「そんなの、ないわ」
参った、要はアンマッチということか。
無双をしたい転生者にとっては大当たりでも、俺にとってはハズレか。
あ! いいこと思いついた。
「じゃ、チェンジで」
「なに、それ?」
「別の女神に代わってくれる? 生産系に強い女神に」
「そんなことできる訳ないでしょう!」
参った。
チェンジができないシステムか。
「時間がないわ。このままだと転生ができなくなってしまうわ」
「それだとどうなってしまうのか?」
「このままだと時間切れで普通の転生になるの。赤ん坊からやり直しね」
「ちょっと待て。では記憶は消されてしまうのか?」
「当たり前でしょ。赤ん坊であんたみたいにめんどくさい性格だったら困るでしょう」
それはそうだ。
・・・そうじゃないだろう。
せっかく隕石で特別スキル・フィーバーリーチなのに、普通の転生なんかしてられるか。
「うーん。とにかく、何か作れる特別スキルがないのか。なんだったらポーションでもいいから」
「あ、それならあるわ。決定! いってらっしゃい」
「ちょっと……」
こうして、俺は、異世界に転生したのだった。
久々に小説書いているから、読者に受け入れてもらえるかどうか、ドキドキです。