年越しには無限システム
年末なのでなんとなくこの時期しか登場できないメニューをやってみました。
季節感をリンクさせるつもりはないのですがメニューを考えている以上軽くリンクしてしまいますね…
年末である。こちらには年越しそばの文化はないが盛大に色々な料理を食べ、大いに飲み、盛大に祝う文化はある。そして数年前から俺が毎回年末にそばを作っていることもあり、この都市では一種の風物詩的なことでうちの店でよく飲んでくれる奴らはそばを食べて年が終わったなんて言ってくれるやつもいたりして少しうれしかったりする。と言ってもここはただの居酒屋みたいなもんなので簡単に美味しいものをつくることがモットーである。今回もめんつゆ無双である。
今回のメニューは無限に蕎麦を食べるためのシステム、題して無限大晦日システムである。とすごいタイトルを付けたが要は湯がいたそばを無限に食べるという代物だ。
作り方としてはこうだ。
まず、鍋に昆布を入れてある程度放置。昆布が柔らかくなってきたのがわかったら火にかけて出汁を取る。
布なり不織布の袋に鰹節を思いっきり入れて昆布を抜いてカツオパックを入れて更に煮込む。これは出汁の香りというよりか旨みメインなので少し長めに煮出す。
出来た出汁に醤油、みりん、砂糖を加え、更にめんつゆを加える。めんつゆオンリーでやるより遥かにうまくなるし自由度が高いので色々混ぜつつベストの味を探すのが大切だ。そして、酒を加える。安い酒でいいが量は容赦なく、これ多くね?って思うレベル入れていい。
そして、半口ぐらいのサイズに切ったコカトリスの肉(良い鶏肉とでも思ってくれ)を入れる。今回はモモの肉を使う。個人的にはムネ肉のほうが好きなのだがそばつゆにはモモ肉の油の旨みが入っていたほうが美味しいので今回はモモだ。
そして色が変わってつゆに油が浮いてくれば完成だ。隣で沸かしたお湯でそばを湯がいて、丼に盛り、そばつゆをかけて更に上から長ネギもしくは小口ネギのみじん切りを乗せて好きなやつは天かすなりを乗せれば完成だ。
このシステム、なんで無限なのかといえば、本当に無限提供が可能だからだ。実は裏に冷ました出汁があるし、鶏肉も潤沢にある。ネギもこれでもかと言うぐらいに準備してあるし、勿論醤油なども切らすことがないように準備してある。つまり、そばつゆが減ってしまってもすぐに増やせるのだ。それにこちらの世界にはないが湯でそばを買っておけばそばをラーメンの湯切り用のザルに入れて湯がいてしまえば一つの鍋で無限にそばが食えるようになっているのだ。これは発明だと思う(他の家でもやってると思う)。
更にこのつゆを薄めて味を整えて大根と人参を煮て、餅を入れ、上に三つ葉でもあしらえばお雑煮になるのだ。大晦日からお正月まで困らない、なので無限大晦日システムなのである。
さて、酒飲みはこれだけでは満足しないので酒のあてと正月の酒の飲み方もこの日だけはこだわっている。といっても別に全員にこうしろと言ってるわけじゃない。好きな酒を飲んで酔えばいいじゃないかというのがこの店の考え方だ。
まず、角煮である。オーク肉の脂身が多めのところ(ロースと俺は呼んでいる)のブロックをまず全面フライパンで焼く。表面から必要以上に油が逃げないようにするためである。そして表面が焼けたら醤油、酒、砂糖をベースとしたタレで煮込んでいく。うちは七味を多めに効かせてピリリと辛い。更にこいつのタレにゆで卵を漬け込むことで味玉ができる。これは角煮とセットで提供しよう。
さらにさっきネギがこれでもかと準備してあるといったがこれも理由がある。この店には囲炉裏があるのでそこでねぎ焼きをするのだ。勿論七輪も準備済みである。鍋の時は魔導コンロを使ったが今回は焼くし冬で寒いということもあるので熱が発生する七輪を使うことにした。ネギを網の上で転がして焼き目をつけて醤油なり柚子胡椒なりにつけて食べるのだ。これも冬の醍醐味だ。
さらに直火の燗酒もある。お湯で燗をするのも美味しいのだがなぜかわからないがやかんに日本酒を入れてそのまま弱火にかけて温めるのが美味しく感じてしまったのと、少量でも注文ができるので軽く飲みたい人にとってもいいかと思ってこの形にした。
さて今年も年が明ける。来年はどんな料理をすることになるだろうか。また、どんな人と会えるのだろうか。新しい年に思いを馳せつつ…
今日も気分屋ののれんをかける
皆さん、良いお年と良い来年を
明けるとおめでたいのはなぜなのでしょうか…