砂漠に咲く花
そんなタイトルの歌があったような……
第97話 砂漠に咲く花
お尋ね者。その事実と修留の暴走があったので、宿は早めに出た。もちろん宿代は払った。
「………」
珍しく黙っている修留。
元々口数の少ない紅諒。
「「……」」
何かこの沈黙が居た堪れない。
(何かしゃべってください)
(無茶ゆうな)
運転席と助手席に座る二人はひそひそと話をする。
修留の暴走。
それで逃げるように街を出たのだが修留は申し訳ないと思っていて――ちなみに修留の手によって死人も出ている。完全にお尋ね者だ。
修留は申し訳ないと思っているのかいつもより食事をしていない。――因みにご飯一杯だ。いつもはその十倍は食べる。
「……」
尋ねたい事はたくさんあった。でも、それを尋ねて答えてもらえるとも思えないし、修留の傷を抉るように思えた。
「………紅諒」
「……ああ」
ぽつりと口を開いたのは修留。
「……怪我痛くなかった?」
修留が今更な事を尋ねる。
「回復させた。足りない分の霊力はお前から奪ったし」
(奪ったって…)
(何しやがったんだこいつ!!)
問い質したいが怖くて聞けない。
「あのね…」
「謝るな。不快だ」
まさに謝ろうとした修留を一刀両断する紅諒。
「これ位予想範囲内だ」
予想範囲内って事は……。
(気にするなと言いたいんでしょうか?)
(遠回しで分からねえぞ。言われたのが俺なら分からんな。…言われた事ね~けど)
聞き耳を立ててしまうのは仕方ないだろう。
「でも、あの街に居ずらくなったんじゃ…」
「お前を連れている時点で分かり切った事だ。何度も言わせるな」
気遣っているのだろう。紅諒なりに。
………そっぽ向いているが。
「そうだね…」
逃げるように出てきてしまった。こういう事は何度も起こるだろう。
「「……」」
嫌なら、同行しなくていいと告げられたのを思い出す。でも、きっと何度こんな目にあっても悔やまないだろう。自分達は。
「街の人に悪いことしちゃったな…」
「……気にするな」
珍しいデレ台詞だなと感心していたら。
「おいっ!! あれ!?」
香真が何かに気付く。
そこには小さな花。
砂漠化して植物が生えなくなっていた場所だったのに咲き出す一輪。
「……」
「努力は報われたという事か…」
香真がらしくない事を言っている。
「……考えてみるといい街だったよな」
祭りにも参加したし、
「ああ」
紅諒まで同意する。
「祭りも修留が巨大ミミズを倒したから参加できたしな」
自分を責めるなと告げると修留が笑う。
「さてと次はどこでしょうねかね?」
「温泉に行きたいです」
「なんで、温泉? 温泉だと僕一人離れちゃうけど」
そんなくだらない会話しながら向かう。
そんな三人を見て、紅諒はバレないようにそっと笑った。
砂漠の街はここでおしまい。次から新章です。




