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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蜃気楼
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朝焼け

俺たちの戦いはこれからだ―(笑)

*最終回ではありません

  第96話  朝焼け

 忘れた記憶。

 封じられた記憶。


 大切な人達が居た。

 守りたい人達。

 本当の家族は覚えてないけど、家族と言うのはこういう物なのかと思わせてくれた人達。


 大好きだった。

 とても大好きだったのは(記憶が)忘れても(心は)忘れられない。


 とても幸せだったのだ。


 そう、幸せな記憶が強ければ強いほどその悲しい事件は憎しみと同化する。


 だから、封じられた。

 悲しい事件だけを封じても、解決にならない。

 幸せな記憶が残されては、いつか気が付いてしまう。

 ……その幸せはどうして終わったのか?

 ……なんで終わったのだろうかと――。


 だから、会った事実すら記憶の奥底に封じられた。


 大好きだった人が居たという心は残されて、その人達は思い出せない。


 きっと、これからもそうだろう。

 僕は死ねない。

 死に方が分からない。

 短命なはずの翼人が自身の霊力の暴走と折り合いをつけた結果が闇に染まるという事。

 その寿命がいかほどか。その生態系も僕を通して調べられている最中だ。

 だから、現段階では、人間と霊力の弱い魔人よりは長命だと言うのは分かっていた。

 つまり、多くの存在に僕は会い。その人達に置いて行かれると言う現実。


 多くの人に会っても忘却の彼方に追いやられていく。

 大好きな人が居てもその人が不幸な死に方をしたら。またはそれに近い事が起きたら自分に掛けられた封印が解ける。

 それくらい理解している。

 だから、好きにならないと思っていた。

 好きになりたくなかった。


 でも――、

『バカか』

 僕の覚悟はその一言で壊された。

 頭を叩かれた――ピコピコハンマーで――。

 鼻で笑われた。

『後ろ向き過ぎるんだよ。不幸になるならないなんてお前が決めるんじゃなくてその相手だろうに』

 お前は大切な者の死の責任はすべて自分にあるとでもいうのかよ。

 呆れたように告げられた。


『でも、僕はそれで…多くの人を殺したんだよ』

 僕が不幸を与えた。僕が人を好きになったばかりに。

『――なら』

 忘れられない。指針。

『お前が暴走したら俺が殺してやるよ』

 朝日が昇り、紅諒の身体を照らす。

『だけど、その前に…』

 紅諒の額《一種》と馬鹿にされ、見下されてきた彼の額が《蓮華》と呼ばれる人神でも高位の証に変化していた。

 衆生を救うと言われて居た慈悲深い存在。


 目が澱んでいた。

 心が死んでいた。

 そんな紅諒が何かを決意したように笑う。


『その前に…?』

『……』

 何かしたい事が出来たんだろうかと尋ねるが、

『覚悟は口に出さない方が、恥ずかしくないからな』

 そっぽ向いて告げてくる当時はまだ可愛らしかった横顔に笑ってしまう。


『叶うといいね』

『…叶えるさ』

 そう答える声。


 忘れたくない思い出。


「……」

 目が覚めた。

「ああ、僕…」

 泣いた後の様だ目が痛い。

「………ああ」

 身体の支配を取り戻したんだ。そう気づいたのは、ベットを囲むように眠っている人達を見てからの判断。

 床に居る人。

 ベットの端を枕にしている人。

 椅子から落ちそうになっている人。


「ただいま」

 そんな三人三様の人々にそっと囁いた。


 



修留は、紅諒に心を救われて

紅諒は、修留を救いたいと思ったから強く成ろうとしてます。

説明不足ですみません。

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