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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蜃気楼
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恐怖

修留大暴れ

  第93話  恐怖

 修留が作り出した根。

 香真の持っている《阿蛇》。

 蒼と白。


 火花を散らす攻防劇――。

 

 一見互角だと思われるが、やや香真が押されている。

「香真!!」

 鍔迫り合いで押し負けている香真は本気を出しているつもりだが、

「拙いな…」

 分かってはいるが、脳裏に修留が浮かんで本気を出しているつもりでも手を抜いてしまっている。

 にやにや

 楽しげに笑う修留に、

「うわ~殴りてぇ~」

 と思ってしまうが、いかんせん今は殴るよりもしないといけない事がある。

「おいたは辞めとけよ」

 それにしても妖艶美女だな――顔だけは――飛空が居なければ火遊びしてみたいくらいだぜ。

(まあ、平らな胸と下半身が無ければの話だけど)

 いろんな意味で場数を踏んでいるのでこいつがはっきり男だと言うのに気付いていた。

「妖艶美女顔の男は花蕾だけで充分だっつうの!!」

 修留の腹に蹴りを叩き付ける。

「どういう意味ですか!?」

 にこやかに笑って口を開く花蕾の目が笑ってないので、

(ああ、この件が片付いても俺死んだわ)

 と自分が建てた死亡フラグに身震いがする。


 蹴りで修留が壁に叩き付けられる。

「これで大人しく……」

 なっただろうな。そう続くはずだったが、

「…………マジかよ」

 立ち上がる影。

 にたあぁぁぁぁぁぁぁぁっ

 嗤う修留。

「マジかよ」

 結構本気でやったんだけど。

「ふうん」

 低い声。修留は高い少年声――一応少女だと言う突っ込みは置いておいて――だがこいつは低く成人男性のモノだ。

 色々とアンバランスなのはこれが翼人――闇色の翼を持つモノと言うやつなんだろうか。

「中々やるんだ」

 そう告げたと思ったら修留の姿を見失う。

「香真!!」

 花蕾が叫んでその声に反応するが、その時には真横に修留の姿があり、思いっきり蹴り飛ばされる。


 壁に叩き付けられる。

 やばい。ろっ骨が折れた。


 痛みで立つのが遅れる。

――香真!!

 阿蛇が警告をする。

 目の前には修留。

「――こんなもの?」

 尋ねる声。

「もっと楽しませてよ!!」

 修留の足が折れた箇所を踏み付ける。

 楽しそうにいたぶる。

「――辞めて下さい」

 香真が魔力を紡ぎ修留に向かって光の固まりを放つ。

 修留は花蕾に視線をやり、手を前の出す。

 光の固まりは修留の手に当たると四方に分散して消える。

「実力はあるのに技は単調。もっと工夫した方がいい。――で」

 花蕾に近付く。

「次は?」

 花蕾の白い喉に触れ、

「これだけじゃないでしょう。もっと私を楽しませて」

 大事な大事な事を邪魔したんだからそれぐらいしてくれないと――。


 勝てない。

 絶望が広がる。

 勝てっこない。


 これからどう動いてもこいつには通じない。

 勝てる勝算が浮かばない。


「諦めたんだ」

 懸命だね。

 そう告げて、修留は、

「ゲームはお終い」

 と殺すつもりで根を振り上げた。


 だが――。 


 歌が、神歌が響く。


「まだ抵抗するんだ」

 修留はその声の方向。紅諒を見て告げた。

紅諒「主役は後から来るものだ」

闇修留「……」

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