悲鳴
修留の内側での会話
第92話 悲鳴
辞めて!!
檻の中から叫ぶ。
止めて、お願い!!
見せ付けられる映像。
いたぶる感覚。
姫を心地良いBGMと思っている感情。
全てが、全てが伝わってくる。
『止めて。お願い』
叫ぶ。
『どうして止める?』
嘲笑う声。
『お前だって、許せないだろう。憎んだだろう』
揶揄い、嘲り、いたぶる声。
『大事だもんな紅諒サンが』
耳元で囁かれた様な感覚。
『可哀想に』
全然。全く可哀想だと思っていない。いい気味だとばかりに。
『大切な者を作るから傷付く。大切な者がある限りワタシから逃げられない』
作るのが悪い。そう責めるように。
『ニセモノのお人形が人真似するから』
檻の外には修留とよく似た別人が現れる。
修留が少年外形だとすればそれは妖艶な美女姿。
修留が性別が女ならそちらは男。
修留が常に笑顔だとすればそれは常に憎んでいる。
真逆。
修留はそれを封じるために作られた人格。それ曰く壊れる前のそれを模倣しただけの偽物。
そう、修留は常に紅諒達を騙していた。
大好きな気持ちも。
嬉しい気持ちも本当。
だけど、常に修留は彼らを騙している気持ちで一杯だった。
修留と言う名前すら本当は自分ではなく、今は居りの外に居る存在のモノ。
『お願い…もうやめて…』
『聞けない』
きっぱりと切り捨てられる。
『なんでお前のような紛い物の願いを聞かないといけないんだろう。紛い物は紛い物らしく大人しくしておけばいい』
去っていく気配。呼び掛けてももう答えないだろう。
久方ぶりの自由だ。遊び尽そうとするだろう。
『……紅諒』
大切な人。
守りたい人。
『ごめん。ごめんね』
約束。
『お願い…誰か…』
誰か。
闇。
誰も答える人のいない修留の内面。
映像では修留が兵士の腕を捻りちぎっているのが映っている。
そこで叫ぶ。
『誰か、僕を殺して!!』
殺したくない。
壊したくない。
嫌だ。
嫌だ。
誰か。
誰か。
泣いていた。
涙を流していた。
醜い顔を隠そうもせずに叫び続ける。
涙が皮肉にも修留を封じている檻をより強度にしていく。
負の心が、狂気の人格に力を与えている事実を知ってか知らずか。それでも目の前の惨劇に冷静ではいられなかった。
Q,さて空気になっている人が居ます。その人は今どうしてるでしょう?
A,回復をちみちみしております




