声
闇修留さんのお遊び中
第91話 声
修留の攻撃がある兵士に向かって行く、
「おいっ」
香真がその兵士の前に立ち、修留の攻撃を《阿蛇》で防ぐ。
「さっさと逃げろ!!」
兵からすると奇妙な光景だろう。捕らえるように命じられた相手の一人の攻撃をそいつの仲間であるはずの一人が庇っている。
だが、状況を冷静に判断している者も確かに居て、
「にっ、逃げるぞ!!」
誰かの声に逃げる兵達。………腰を抜かした領主を連れていく者はいなかったが。
「領主様!!」
紅諒と花蕾に攻撃しようとしてここまで案内させられた子供はなかなか入れるタイミングを掴めずに居たが敬愛する――この騒ぎになる前に話していた内容は聞いていたが敬愛する気持ちは変わらなかった――領主の危機は理解していたので助けようと入ってきたのだ。
「………」
修留は香真には興味ないとばかりに《阿蛇》から距離を置く、そして、
「ああ。そうそう」
何かに気付いたように、
「お前も嬉しいだろう。大切な大切な紅諒サンを傷付けた男が居たからな。片付けとかないとな」
誰に話し掛けているのだろ。その口調が面白がっているような響きだ。
「――止めろって、誰に言っているんだ。お前の意思なんて関係ないんだよ。ワタシは久方の自由を手に入れたんだ。――もっと遊ばせろよ」
誰かに向かって話をすると、その領主を修留が攻撃しようと腕を振り上げたが、
ぴくっ
その手が止まる。
「修留…」
修留の表情に笑みではなく動揺が現れている。
子供は両手をあげて庇うように――びくびく震えていて顔色が悪いが――怯えつつも睨んでいる。
「………面倒だな」
ぼそっ
修留の声。
いつもの高い声ではなく、外見から信じられない低い声。
「気持ち悪い」
不快だと宣告したと思ったら、修留ははプチプチと自分の羽根を数枚抜き、
「おいで、《竜見》」
と言葉を紡ぐ。
羽根は形状を変え、蒼い根になる。
それを手で治めると乱暴に子供に叩き付けようとする。
がんっ
「止めろよ!!」
子供の前に立ち修留の攻撃を再び《阿蛇》で防ぐ。
「子供相手に何しやがる!!」
目の前の存在は修留であって修留ではない。そう思っているが攻撃を塞ぐだけで反撃できない。
………攻撃が重くてそれどころじゃないと言うのもあるが…。
「――何で使い手を選んでいるんだ?」
怒り。
「――お前の主人は一人じゃないのか!!」
激しい怒り。
――阿蛇は、香真と誓約した
阿蛇が答える。
………以前から修留は《阿蛇》と話が出来ているとは思っていたが目の当たりしたのは今回が初めてだ。
――先代の使い手の恨みを晴らす。そのための力を貸してもらう代わりに香真の大切な者は守る。と
元々使い手を選ぶつもりもなかったが香真は別だ。
そう告げられて、それがこの状況じゃなければ褒められていると喜べるのにと悔しがる。
・・・・
「詭弁だな。あいつら以外にワタシ達を理解してくれる者なんていないのに!!」
憎悪の籠った眼差し。
「そうだ。忘れてた。フクシュウしないと、コワさないと、こんな嘘の世界。あいつらの居ない世界。壊さなきゃ、壊さなきゃ、壊す。壊す。壊す。殺す。殺さないと殺して、壊して、早く目を覚まさないと…」
狂気を孕んだ声。眼差し。
それの恐怖を覚えるのはおかしいだろうか。
「……阿蛇」
――昔なじみだ。止めたい
詳しく説明する気はないようだ。
「………言われなくとも」
修留は俺らの仲間だからな。止めないと決意した。
修留と阿蛇は実は知り合い




