襲撃
修留のターン。主人公出てないよ
第8話 襲撃
「ごめんね。まさか買い物にも付き合わせちゃって」
「ううん。紅諒まだ起きてこないし、散歩したかったから案内してもらえて嬉しいよ!!」
修留は朝市を興味深げに見て回る。
「まさか、朝食の材料が足りなくなるとは思わなかったから…」
「うっ!! ご、ごめん」
十分用意してあったのだ。昨日の段階では。
でも、
「まさか……。10人前軽く食べるとは思わなかった」
「ごめん。美味しくて…」
「まあ、花蕾さんの為に材料買いたかったからいいけど」
食事をする時になって、
『すみません』
とお肉を食べれない体質だと謝られた。
『魚は平気なんですけど…』
申し訳なさそうに告げられつつも、どう見ても儚げ美人だなと思ってしまい、あの悪夢まで想いをはせてしまう。
「せめて、朝は花蕾さんに喜んでもらえるように作りたいからね」
美味しい野菜料理にお魚。喜んでくれるといいな。
ニコニコと顔なじみに挨拶していく。朝市に働いている親に連れられた子供が気が付くと修留と仲良くなっていて、いろいろとお薦めをしていく。
平和ない一時――。
「……っ!?」
それが唐突に壊れたのは、修留が何かに反応して足を止めた時だった。
「修留君?」
どうしたの。と尋ねようとしてそれが止まってしまったのは、修留の視線の先に見えた砂埃。
「逃げろ!!」
修留の口から発せられた声。
その声の切迫した様子に逃げ出す者。意味が分からず――子供の言っている事を些細な事だと気にしなかったのだ――に動かない者。
明暗はそこで分かれた。
「捕らえるのは、女子供だけにしろ!!」
その声と同時に次々と逃げなかった大人は突然現れた魔人によって、斬られて、地面に伏している。
見た事の無い乗り物に乗り、逃げ遅れた人を捕らえていく。
「霊具…」
ぽつりと修留が呟くと、魔人の一人が乗り物を止める。
「へえ~。お稚児さんか。綺麗な顔立ちをしてるな」
じっと修留を覗き込む。
「おいおい。いくら綺麗でも男だぜ。そんなんでたつのか!!」
別の魔人が声を掛ける。
「男だからいいに決まってるだろう。女だったら翼人が出来ちまうしな」
そう言って修留を捕らえようとする。が、
「――あいにく」
妙に大きい袖を修留は振った。ただそれだけ、
「僕にも選ぶ権利がある」
修留に近付こうとした魔人の腕が切り落とされている。
「ぎゃああああ!!」
魔人の悲鳴をバックミュージックにして、修留は次々と魔人に捕らえられた人々を助け出していく。
「早く逃げて」
修留は助けた人々に告げる。
「魔人が死ねとこ見たくないでしょ」
一人で多数を相手に勝てると言外に告げている。
「てめ…!?」
切り落とした腕を拾うと斬られた箇所をあてる魔人。すると斬られたはずなのに再び元の斬られる前に戻る。
「あっ…!?」
「驚かなくていいよ。魔人は自己再生能力は三種族一。あれぐらいはすぐ治す」
予想していたと冷静に修留が教えてくれる。
「倒すのなら」
修留に向けられる刃。その腕を修留は掴み。
「潰した方がいい」
と引き千切った。
お稚児じゃない