遊びの時間
の始まり始まり
第87話 遊びの時間
どうしてだろう……。
会った事無い筈なのに、
「…瑠鈴」
と呼び掛けてしまったのは。
目の前では大怪我の紅諒。
いつもの僕ならすぐに紅諒の元の行くのに視線が彼女から外れない。
「果鈴よ」
くすくすとそいつは、嗤う。
「修留」
応急処置をする花蕾。
「手伝ってください」
懇願する声。
でも、動けない。
血。
流れる血。
なんで?
どうして?
「邪魔者が増えちゃったわね。どうする?」
くすくすと壮年の男性に近付いて話し掛ける声。
「バレちゃうんじゃない?」
その言葉に反応してこちらを見てくる男。その手には血で染まったナイフ。
どくん
強く鳴る鼓動。
「………」
その地が誰の物か気付く。そう――、
こいつは、紅諒を殺そうとした――。
殺そうと――。
どくんっ どくんっ
視界が紅くなる。
目の前の光景と重なる様に何かが見える。
女性だった。
女性は三人の男の人を殺すために動いていた。
『瑠鈴……』
男の一人が止めようと声を掛ける。だが、
『ごめんなさいね。これも』
通過儀礼なの――。
どくんっ
「どうしたの?」
にこやかに面白がるように尋ねる声。
・・・・・
「小鳥ちゃん」
その名を呼んでいいのは。
――修留は、喜怒哀楽の喜びと楽しみしか前面に出さない。
怒りもするし、悲しみもするが、その感情は弱く。それゆえ、ポジティブに思われやすいが、その本質は真逆。
悲しみもするし、怒りもする。嫉妬や憎しみも抱く。
ただ、そういうのが弱くなるようにその人格を強制されている。
そう。
強い怒り。悲しみ。憎しみは、修留の本質を解き放ってしまう。
闇の世界。
黒い沼には人影一つ。
怒り、悲しみ、憎しみ。人が持つ当然の負の感情を凝縮されたその沼。
その近くには別の影――修留と認識されているそれは、沼に足を踏み入れる。
『――来たな』
にやり
沼に足を踏み入れた事に修留と認識されている者が気付いた時にはもう遅い――。
沼は修留と認識されている存在を取り込もうと引き摺り込む。
修留の抵抗など封じ込めて――。
『せいぜい。そこで見学してるといい』
沼から自由になったもう一人の修留が沼の外に出る。
『止めっ…』
止めようとするがもう遅い。
『これから始まる遊びの時間をな』
にやり
沼は修留だった存在を捕らえ、檻の形に変貌する。
抵抗する修留だった存在に見向きもせずに、かつての囚人は前面に出た。
次回からグロくなるよ。(予定)




