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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蜃気楼
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混沌の民

さて、混沌の民とはいったい……

  第83話  混沌の民

 くすくす

 ミイラだった男は笑う。

「そっちのいい男は知らないみたいだけど。流石、そっちのガキは知っているみたいだね。あちし達が」

「………野郎があちしって言うなよ」

 気味悪い。

「あら、失礼。でも」

「――こいつらには性別は無い」

 不快気に叩き付けるように告げる修留。

「そう言う事♡」

 ♡マーク付けるな気持ち悪い。

「でも、今は戦わないわね。鏡も壊されたし。用は無いわ」

 そう告げて去っていく気配。

「待て!!」

 紅い瞳のまま修留が叫んで止めようとする。

――主。止めろ

 阿蛇に言われなくてもそのつもりだと今すぐ追い掛けようとした修留を殴って止める。

「いった~!! 何すんの!?」

 振り向いた修留は元の蒼い瞳。

――封印が甘くなっている

 ぼそっ

 阿蛇が囁く。

「阿蛇?」

 阿蛇こいつが自分からしゃべるのは珍しい。

「どうした?」

 尋ねるが声ってくるのは沈黙。

「………」

 こりゃ、答えないな。

 今回は追及するのはやめておこう。

 それに……、

「修留?」

「………」

 じっと動かず、当たりを見渡す修留。――まるで、今起こった事を確認するようだ。

「……香真」

「んっ?」

「僕、今…」

 何してたっけ?

 不安げに――嫌、怯えているのだ――訪ねてくる蒼白した顔。

「………」

 迷うのは一瞬。

「何もしてねえよ」

 嘘だとバレバレだが、

「そう。だよね」

 嘘でも縋りたくなる。そう目が伝えている。

「……」

 一体、何に怯えているのか分からねえが、バレバレの嘘でも安心するって事は修留の中ではまだ大丈夫だという線引きがされたんだろう。

「あいつらと合流するか」

 報告しないといけない。

「そうだね」

 同意する声。その声にはいつもの明るさが戻っている――演技か本気か不明だが――それに安堵しつつ、街に戻る事にした。

                 ♦

 くすくす

 嗤う声。

「見ぃ付けた」

 紅い瞳。

 闇色の沼。

 黒しかない空間。

「楽しみだなぁ~」

 瞳に宿るのは狂気のそれ。

「殺してあげる。滅ぼしてあげる。ははっ、楽しみぃ~」

 どうやって壊してあげよか。どうやって苦しめてあげようか。

「こわしてあげる。ゆびのほねをいっぽん。またいっぽん。おっていって、ししをひきちぎって、ちのいってきいってき、のんであげてぇ~、つうかくはさいごまでのこして、くるしめて、くるしませて、ころしてくれとさけぶまでほおっておいて、もちろんたましいをしょうめつさせないとぉ~にげられたらたまったものじゃないから。たましいをふうじるけっかいはよういして、にがさないし、にがしてあげない♡ くるしんでくるしんでくるしむのもつかれさせちゃって、ははっ、きがくるわないようにちょうせいして。ふふっ」

 簡単に終わらせてやらない。

 今度こそ逃がすものか。

「その時には身体を返してもらうよ。修留ニセモノ

 そう宣言する。


 その沼の近くでは、青い瞳の存在が、怯えたようにしゃがんで耳を塞いでいた。



合流しましょう。

そうしましょう。

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