最後の一枚
脳筋(笑)の爆走
第82話 最後の一枚
ばりん
その鏡を割った時変化が起きた。
「風が…」
ずっと吹いていた砂嵐が止む。
《最後の媒介だった》
阿蛇の声が届く。
「って事は、事件解決じゃねえ!?」
あいつら居なくても事が済んだんじゃ……。
と紅諒と花蕾に聞かれたら酷い目に合わされる事間違いなしな事を思っていると。
「香真」
修留がある方向に目を向ける。
「んっ? どうした?」
もう解決したと思って気を抜いていると、
「あのミミズ達が……」
巨大なミミズが見る見るうちに小さくなり、普通のミミズになる。
「なっ!?」
質量保存の法則はどうなっているんだと突っ込みたくなるが、霊力で大きくなる車があるのに今更だよと修留が突っ込む。
「それよりも…香真」
「ああ」
割れた鏡。
それによって止まる術。
そして、
「あれがいかにもって感じだな」
砂で隠されていたプレハブ小屋。
「だよね……」
行ってみるか。
即決。
知能組が居れば闇雲に動かなかっただろうが、そこは脳筋――そこまでではないがそう表現するのが近い――迷いもなく入って行く。
「あらま…」
それに気付いて香真が呟く。
「んっ?」
どうしたの? 首を傾げて尋ねてくる。
「いや~。修留じゃ刺激強いかな」
見せない方がいいと判断して隠そうとするが、それより早く。
「ああ…。成程」
見てしまった。
そして、動じてない。
「……ミイラだね」
ミイラ化した死体。
「どうやって作ったんだろう? 砂漠になったのはここ10年ぐらいでしょう?」
そんな簡単にミイラ化するものかな。
「いや、10年もたってねえぞ。………平気だな」
「死体はよく見たし」
香真の言葉にあっさり答え、
「……この死体はこの砂漠化の元凶だよね」
自分でやって自分が巻き込まれるなんて……。
「…………不謹慎だが」
「不謹慎だけど」
二人から同じ言葉が出て、ちらりと相手を探るように視線を動かして、
「「間抜け」」
同時に出てくる言葉。
「「………」」
顔を見合わせて、
「香真!! 不謹慎だよ!!」
「それはお前もだろう!!」
指差しあって爆笑して、相手を責める。
ひとしきり爆笑し合って
「さてと、紅諒達に報こ…」
元来た道に戻ろうとした修留の声が止まる。
「………」
「どうした?」
笑いがまだ止まらない香真は急に足を止めた修留に訝しげに見る。
「――混沌の民」
さっきまで笑っていたのが嘘みたいに、急に修留がまじめな口調に代わる。
「修留?」
どうしたと尋ねかけたら、みしっみしっとミイラが動く。
「げっ!?」
死体は気にならないが怪談は苦手だったので、情けないが修留の陰に隠れる。
「おやっ、わちしの事知っていたのかい?」
ミイラの皮が剥がれ、そこには一人の男。
「……えっ!? ミイラじゃなかったのか?」
ついそう突っ込みをしてしまうと、
「ミイラと言えばそうかな。そこのガキは知っているみたいだけど」
修留の不快気な眼差し。
「――知ってる」
その修留の瞳が蒼から赤に変化していた。
香真はお化けが苦手
「死人より生きてる人間の方が怖いのに」
by修留




