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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蛇と少女
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いってらっしゃい

香真編終了です。まだ謎は多いけど

  第69話  いってらっしゃい

 4人は出立の用意をしている。

「…………飛空さん。お見送り来れないのかな?」

「………」


 廃鉱を出た後。

「香真!!」

 飛空が香真が出てきたのに気付いて抱き付こうとしたのを、

「香真!!」

 怒鳴る声。

「なんでお姉ちゃんを連れてきたの!?」

 責め立てる妹――見た目は逆だが――、

「お姉ちゃんを守ると言うから婚約を許したのに!!」

 飛空を香真から遠ざけて、

「しかも仕事でしばらく帰ってこないつもりでしょう!! そんな奴にお姉ちゃんを任せられない!!」

 香真の反論も許さない怒涛の口撃(?)で去っていく。


「……徒歩で帰れるかな?」

 その引き離された恋人は現実逃避なのか妙に抜けた事を告げて――。

 

 今に至る。


「今回の件は後は紅諒の上司が動いてくれるらしいけど……」

 いい交渉材料になるとか言いそうだなと紅諒が遠い目をしていたけど、紅諒の上司って、《華王》じゃなかったけ?

 人神の最高位。清廉潔白のイメージがあるのに……。

「香真。会いに行かなくていいの?」

 修留は心配そうにさっきから訪ねているもどうも香真の反応が今一つなのだ。

「香真?」

「別に」

 くしゃくしゃと頭を撫でられる。

「髪が乱れる!!」

 修留が文句を言うのを面白がっているのが丸分かりだ。

 視線の端にどこぞの物騒なヒトが銃の手入れしているが取り敢えず、こちらに向けて撃ってこないなと内心安堵して、

「しばらく会えないのに、いいの?」

 僕なら会いたいと思う――会いたいと思えるほど仲のいい人が居ないが――。

「そうだな…。だから、会わないつもりと言えばいいかな」

 香真はますます修留の頭をぐしゃぐしゃにして、

「今、会わなかったから、帰ってきたら必ず会うぞと思って頑張れるんだな。これが」

 香真の言葉に髪がぐしゃぐしゃになったので、髪紐を外し、手串でセットし直す修留が大きな目を開いて、

「……ろまんちすと?」

「なんか含みがあるような言い方だな」

 馬鹿にしてるだろう。

「まあ、実際の所。家でメシ作ってくれた時に長期で出かける事は伝えたからな。いまさら言う事でもないしな」

 そう言うものだろうか? よく分からない。

「……そういう付き合いもあるんだよ」

 笑って――何時もの揶揄う物ではなく、何となく優しく――ポンと頭を置く。

「………セットが乱れる」

「ああ。悪いな」

 文句を言うが直したばかりの髪は今度は乱されなかった。

               ♦

「お姉ちゃん。行かなくていいの?」

 まあ、行かせないつもりだったけど、無理やり行くと思ってた。

「行かないよ」

 にこっ

「願掛けもあるし、出かける事は言われてたしね」

 願掛け?

「そう」

 

 今、会うより帰ってきてすぐに会いたい。

 だから――。


「出かける前は会いに行かない。会わない分早く帰ろうとしてくれるから」

 だから、待ってるんだ。

「………」

 海璃は溜息を吐いて、

「反対したくても出来ないのね…」

「ほんとは認めてる癖に」

 元々海璃と香真はお見合い相手だった。だけども、香真は妹ではなく姉を選んだ。

 認めて無ければお見合いもしないくせして……。

 そんな昔に思いを馳せつつ、

「行ってらっしゃい」

 見送りにはいかず、そっと窓から外を見て告げる。


「行ってきます」

 車に乗り込もうとした香真が小さく呟く。

「香真?」

 優しい声。顔付き。

 まるで、聞こえないはずの誰かの声が聞こえたような優しい物だった。


少し外野の話も書きたいな

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