面倒事
紅諒は低血圧
第6話 面倒事
朝起きたら隣のベットで寝ていたはずの修留が居なかった。
「……」
着物の袖の下に隠れている右手首に着けてある腕輪を見る。
「…遠くじゃないな」
なら、ほおっておく。
「おはよ」
食堂に行くともう朝食を食べ終えた香真と花蕾がコーヒーを飲んで寛いでいる。
「おはようございます。紅諒」
遅かったですねと告げられて、時計を見る。
「……まだ8時だ」
そんなに遅くない。
「いや、出るんならもっと早い方がいいだろう!!」
「徒歩ならな」
徒歩や馬車なので旅するのが多いがそんなのは必要としない。
「ありっ、違うの?」
「ああ、sy」
「貴方方が魔人を倒した者達か!!」
宿の入り口がけたたましく開き、何人かの自警団らしき者達が入ってくる。
「……」
面倒だな。香真が倒したから、こいつに押し付けよう。
花蕾に視線を送るとこちらの意図に気付いて頷く、
「なあ、おい。今なんか嫌な感じがしたんですけど~」
押し付ける気か。
「ちっ!! ………………気のせいだ」
「今舌打ちした奴が言うセリフじゃねえ!! ってか、修留も当事者だろうが!!」
香真の叫び声はとりあえず無視しておく。
「魔人族のアジトを掴むのに協力しろ! お前達のようなごろつきに一応謝礼も払ってやる!!」
偉そうな態度。
そんな奴に構っていたら時間の無駄だと判断して、さっさと出ていく事にする。
「下僕その2。その3。出立するぞ」
「待ってください。修留がまだ帰ってません!!」
花蕾が慌てて声を掛けてくる。
まだ一日しかたっていないがあんな子供を置いていくのかと心配になって、止めに入ると、
「気にするな」
あっさりと切り捨てるような発言。
「あいつは…」
ばん
勢いよく開かれる扉。
「ね…姉ちゃんと………」
呼吸を乱して数人の子供達が入ってくる。
「修留君が……!!」
泣きながら、宿の店主にッしゃべりだす子供たち。
「どうした!!」
「あの、角のあるやつらが街の入り口に来てて、あの修留ってやつが一人で食い止めるって…」
「姉ちゃんは一人じゃ危ないからって残って」
あのバカが。
「仕方ない」
「紅諒。修留がけがしないうちに」
「逆だ」
お前。昨日の事忘れたのか。
「あいつが本気を出す前に止めに行く」
厄介ごとに首を突っ込んだ事に後でお仕置きしようと思いつつ、街の入り口に向かって行く事にした。
次回は修留メイン