掛け違え
廃鉱から脱出
第67話 掛け違え
取り敢えず、花蕾が安全なところに連れて行き、紅諒達を待つ。
花蕾が警戒をする中、飛空は助け出した二人に駆け寄る。
「お母さん!! 海璃!!」
怪我は無いか。縛られただけか。薬とかは使われてないか。もし使われていたら副作用とかは……。
「ごめんなさい!!」
二人の身体を確認して頭を下げる。
謝って許される事ではない。
「私のせいで……」
私と言う疫病神が居るせいで……。
ばちん
強くはない。でも飛空の頬は叩かれる。
「お母さん…?」
「……」
きょとんと飛空は叩かれた頬を撫でる。
「………貴方のせいではないでしょう」
告げると、グイッと抱き寄せる。
「助けてくれてありがとう…」
母親の言葉。
「でも、危険なのに来ちゃダメでしょう!!」
叱り付ける声が震えているのは泣いているからだろう。
「そうだよ。お姉ちゃん。お姉ちゃんだって危ないんだから!!」
飛空に向かって同じ様に叱り付ける妹。叱り付ける顔が涙でくしゃくしゃなのにまったく気にしてないだろう。
「ごめんねぇ~お姉ちゃん」
母とは違う方向からがしっと抱き付く、
「もともとは私のせいなのに……」
「違う!!」
「違うくない!!」
とっさに異議を言うのを妹が封じる。
「お姉ちゃんは私の為に……私の学費の為に…!!」
ごめんなさい。ごめんなさい。涙交じりの声で謝り続ける声。
「………」
花蕾はじっとそれを見ている。
この家族に何があったのか知らない。香真なら知っているだろうが、他人の秘密をべらべらしゃべる人ではない。
しゃべるとしたらそれが必要な情報前提な時だけだ。
………それでもある程度推測は出来る。
「掛け違えた釦か……」
飛空がこのような体質になったのはある薬の実験体と言うバイトをしたから。
そのバイトが妹の学費を稼ぐため――。
罪悪感で一杯だったんだろうな家族は、それで妙に気遣い続け、飛空はそれで家族に負い目を抱いて……。
距離を置けば、まだマシだったかも知れないが、距離も置かずここまでずるずると………。
「面倒なご一家ですね」
飛空個人は気に入っているがこの家族にここまで関わろうとするのは香真だけだろう。
香真はつくづく貧乏くじを引きたがる。
自分と言い。飛空と言い。阿蛇と言い。
そして、
紅諒と修留だ。
ぎゃあぎゃあ文句を言ってこそいるが一つも手放そうとしない。
「お人好しなんでしょうね」
だから心配だ。騙されそうで。
抱き合ってわあわあ泣いている三人を見つつ、
「そろそろ戻ってくると思いますよ」
そんな気配――足音が近付いてくるのを確認して笑い掛ける。
「香真達にそんな泣き顔見せてはだめですよ」
妬かれてしまいますと冗談明哲げて、そっと持っていたハンカチを渡した。
香真は面倒だとぼやいても面倒見がいい。
主人公気質だけど、残念ながら紅諒が主人公です。




