そこに愛があった
花蕾の暴走運転で酔いつつ進んでます
第60話 そこに愛があった
きいいいい
飛空を連れて街を走る。
花蕾の運転は荒く、乗り心地は悪いが、余計な事を考える時間を無くしてくれる。
………ったく、何が幸いするか分からないものだ。
飛空は内臓が飛び出してもおかしくない状態でも必死に家族を心配して祈っている。
修留はそんな飛空が心配でずっと手を握っている。
やがて、飛空の家族がやっている大衆食堂に辿り着くが……。
「な…なんで…!?」
ざわざわと野次馬が集まっている。
「ちょっと、通して~」
すいすいと人混みを修留は飛空を引き連れて通っていく。
その後ろを俺と花蕾も付いていくが………。
「連れてこない方が良かった」
戦闘に付いたとたんそう呟いて、珍しく後悔している。
「修留?」
呼び掛けて店を見る。
壊れた窓。扉。
争った感じで倒れているイスとテーブル。
床にはぐちゃぐちゃになった食べ物が落ちていて、僅かに血痕が残されている。
「あっ…!?」
青ざめてしゃがみ込む飛空。
その飛空をとっさに支える修留。
「…………紅諒」
花蕾が呼び掛ける。
「――分かっている」
だが、どこに連れて行かれたのか――壊した施設にもいなかったし――。
「阿蛇…」
ぽつりと呟く声。
「修留?」
どこかを探るように視線を揺らし、
「………心当たり。阿蛇があるって…」
「………」
阿蛇に人格(?)がある事も持ち主である香真は阿蛇と会話をしている事は知っていたが、修留が何故阿蛇と話をしているのか。それどころか阿蛇と言うか香真の姿も見えないのにどうやって会話をしているのか、色々と問い掛けたかったが、
(聞いたら危険な内容だな)
修留の空のような青い目に一瞬だけ、別の色が出ていた。
「……そうか」
案内しろと告げると、
「えっ!? 紅諒!!」
信じるんですか!?
花蕾が止めようとするが、
「…………修留が言うのなら間違いはないだろうな」
それは断言できる。
「――飛空」
呼び掛ける。
「お前はどうしたい?」
ここで待つか、付いてくるか。
「正直なところ。お前も狙われている者の一人だ。ここに一人にしておくわけにはいかん」
だが、連れて行くと足手纏いになるのは分かっている。
「………………連れて行ってください」
迷うように瞳を揺らしたのは一瞬。
「足手纏いになるのは承知してます。それでも…」
連れて行ってください。
強い意志。覚悟を決めた者。
「――修留」
呼ぶ。
「どこに向かえばいい?」
「う~んとね。向こう」
修留はある方角を指さす。
「そこに香真も向ってる」
静かな声で告げた。
野次馬「何言ってんだこいつら…」




