買い物
買い物と言うよりお料理教室
第47話 買い物
行きつけの八百屋に着くと晩飯の野菜を品定めしていく。
「おや。香真」
久しぶりだね。と挨拶をしてくるのはこの店によく買い物に来る主婦。
「お久しぶり。お薦めの野菜と料理ってありますか?」
八百屋のおじさんに聞くよりもこの人に聞いた方がいい。そう言われてる強者に訪ねると、
「そうだね。今の時期なら……」
と次々におすすめ料理を告げてくる。
「ありがとうございます」
にこやかに礼を述べると、
「――で、聞きたい事があるんですけど」
一瞬だけ小声にして告げると、
「――何!? 調理法を知りたいのっ!? 仕方ないねぇ~。店主。台所借りるよ!!」
店の裏には台所と呼ばれている調理場がある。そこでは、主婦たちが互いに自分ちの料理を教え合い、交流の場になっている。
――表向きは。
「――で、何が聞きたいんだい?」
包丁で素早く野菜を切りつつ――先ほどお薦めと教えてくれた野菜と調理法で――訪ねる主婦。
「飛空の…いや、5年前のあの実験に関しての情報だ」
香真は隠しても無駄なのでストレートに告げる。下手に隠すよりもある程度情報を開示した方が守りやすいのだ。
「……魔人族で妙な動きがある」
主婦――この街きっての情報屋である彼女は鍋に水を入れて火にかける。
「魔人族の王が病で伏していて、正室の元に強硬派が集まっている」
ずいぶんスケールがでかい話だ。俺の聞きたい事とは違うような。
「その一人がとある実験の生き残りを集めている」
ぴきっ
「それは…」
「お前の事だ。直接的な情報も大まかな情報も知りたいだろう。………魔人族では、水面下で王位争いが起きている。側室の子で第一子の王子と正室の子で第二子の王子。まあ、水面下で収まっているのは当人らは相手の方が王に相応しいと譲り合っているからだ」
「……………で、飛空はどう関わってくるんだ?」
煮立ってきた鍋に野菜を入れる。
「兵器だよ。――いくら王が戦うなと命じても秘密裏に動くモノも居る。その者らがかつて別の者が推した実験を知ったら?」
しかも今は止める王が居ない。
「人間を半魔族化して敵陣地――例えば人神の街に連れて行く、失敗作でも成功作でも暴走させて壊滅させればいい。……おとぎ話の翼人を知っているから出来る戦法だ」
「……………俺は翼人を知らなかったけどな」
鍋の中の野菜はいい色合いになったので野菜を取り出す。
「人は知らないよ。そうやって情報規制しているし、私だって、倒神倒魔具があるなんて思わなかったしね」
「………」
まあ、俺も知らなかったし。
「まあ、実験を進めていた者よりも知恵は回るみたいだ。気を付けた方がいい」
「………そうさせてもらう」
ちゃらん
幾つかのお金を渡す。
「また情報があったら教えてくれ」
「ああ。――帰って来るならね」
そんな軽口を言い合い。お薦め料理を学んだのだった。
さて、敵さんも少し触れました




