伸ばされた手
下僕その2とその3の会話
第42話 伸ばされた手
客室なんて使うのは初めてだな。
「こんなものか」
「もう一部屋用意した方がいいんじゃないですか?」
「うわわわ!!」
急に背後から声を掛けられて驚くとそこには花蕾。
「この程度で驚くなんて」
「フツ~驚くわ!!」
そんな驚く方がおかしいと言うように首を傾げるな。
「お前も(一応)客人だろう。ゆっくりしてろよ」
「まあ、そうですけど、(ほぼ自室と化してる)客室の用意を手伝おうと思いまして」
笑って告げる花蕾はすぐに笑いを抑えて、
「それに、修留に紅諒が説明すると思いまして」
止めなくていいですかと尋ねられて、
「………修留なら飛空に言わないだろう」
それは信用できる。
「まあ、そうですね…」
何か引っ掛かる様な言い方だな。
「花蕾?」
「……………不思議なものですね。私と言い。飛空と言い。修留と言い。混ざり者が集まるなんて」
蠱毒によって複数の人格が統合した花蕾。
薬によって、混ざってしまった飛空。
混血の修留。
「………」
少し迷い、
「………混ざってるからあいつは手を貸したんだろう」
「どういう事でしょうか?」
不思議そうに首を傾げられて、
「お前が気付かないのが意外だわ」
と軽口を言い、
「飛空の事があって誰かに助けを求めた。ここは商業都市だし、金もある。だけど、誰も助けられないと首を振った」
混ざり者は異端だから。
「諦めた時にあいつが現れてな」
『お前が俺の手足となるなら何とかしてやる』
………悪魔と契約したような気分だった。
その方法が危険だと言われても縋っただろう。
「まあ、借りを作ってな。返しきれないと思ったけど、修留を見て思ったわ」
あいつが本当に救いたいのは………。
「翼人は狂いやすい。不安定。短命。それに…」
先日の言葉。
「もしもの時は殺してくれそうだから。か…」
あいつは――紅諒はそのもしもの時が来たら自分で殺しに行きそうだ。でも、
「あいつは、修留を助けたいんじゃないかな」
その手段として俺らを利用している。だが、
「そんなの分かっていた事でしょう」
「まあな」
不器用な奴だ。
「素直に甘えれば可愛いのに」
「そう言われたくないのでしょうけどね」
くすくすと笑う声。
「まあ、あいつの思惑に踊るのもどうかと思うけど、手を貸してやるのも面白いし」
「それをネタに遊べますしね」
それはそうと、客室を二つにしないといちゃつこうとしますよ。
花蕾の言葉に最初の台詞はそういう事かと納得する。
「じゃあ、面倒だけど二部屋用意するか」
嫌がるあいつの顔が楽しみだと笑うと花蕾も、
「きっと感動してしまいますね」
と同じ様に人の悪い笑みを浮かべてた。
「余計なことしやがって…」 by紅諒




