無自覚の罪
下僕三人のおしゃべり。その2
第36話 無自覚の罪
修留の問題発言で引き留めたが、こいつ。
「どうしたの?」
首傾げて全く気付いてない。
「殺してくれるって言いませんでしたか?」
気のせいですよねと恐る恐る尋ねる花蕾にどうしてそんな事を聞くのかと不思議そうに、
「二人の力なら僕を殺せるでしょ?」
それくらいの力はあるみたいだしと言われて、気のせいじゃなかったのかとショックを抱く。
誰が、自分を殺してくれなどと言い出すと思ったのか――過去に殺してくれと言った花蕾が目の前に居たがこれは例外だと思っている――。
「修留……?」
「あっ、そうか」
こちらが訝し気な理由に気付いたのだろう。ポンと手を打って、
「う~ん。どういえばいいのかな」
と、考え込み。
「えっとね。僕もともと狂ってるんだ」
子供のようにあどけない笑み。
「だからね。狂化が進んだら僕は三人を殺してしまうかもしれない」
殺したくないから抵抗はするけど、何分狂っているから止まらないだろうし、
「二人は強いから。僕が殺す前に止めれそうだ」
あっさり、自分の死を前提に告げて、
「じゃあ、ご飯ありがとう」
と、去っていく。
「…………あいつ。分かってねえな」
自分の言った事が相手の心を抉る者だという認識がない。
「で、どう思う経験者?」
「そこで、私を出さないでください」
花蕾を揶揄うように――間違えてはいけないのはしつこく言うと怒りだすのであくまで軽く――。
「いやな。俺は生にどん欲だからな。死にたがりの気持ちは分からなくて」
あれっ、てことはまともなの俺だけなのか。このメンバーだと。
「失礼な事考えてませんか?」
…………たまにこいつ心が読めるんじゃないかと思う事がある。
「顔に書いてます」
「なら、仕方ないか」
「……あっさり認めますね」
「ひねくれ者が多いとな認めた方が話は早く進む」
修留は単純な奴だと思ったから正直意外だったけど、
「……だから、強くなろうとしたんでしょうか」
「んっ?」
強く……。
「紅諒の事か?」
「ええ。私が初めて会った時」
『なんで、私を助けるんですか…?』
『恩を叩き売っただけだ』
勘違いするなと切り捨てるように告げられて、
『恩があれば裏切らないだろう。俺は目的の為に手札を多くしたいからな』
『……実行するの俺と阿蛇なんですけどね。聞いてないみたいですね』
「もしかして、手札と言うのは…」
修留が狂った時に対抗できるようにとかですかね。
「…………違うだろう」
あいつの目は、
「諦めるの選択している奴に、諦めないための理由を増やしてる気がする」
まあ、勘でしかないけど、
「………経験談ですか?」
「まあな」
懐から煙草を取り出して咥える。
「それだけじゃないだろうけどな」
まあ、この件はこれ以上は話は進まないだろうし、お終いにしておくか。
翌日。
紅諒が回復したので出発する。
その夜の事はそれぞれ、表に出さずに……。
4人中3人が闇サイドに足突っ込んでいる件




