下僕達
三人でわちゃわちゃ
第34話 下僕達
紅諒はすやすやと眠っている。
「今度は悪夢を見ないように」
祈るように告げる。
「寝てしまいましたか?」
そっと開けられたドアから声を掛けられる。
そこには両手でおかゆの鍋を持つ花蕾と、ドアを開けている香真。
「うん。当分おかゆは食べられないかな」
「では、机にでも置いておきましょう。起きたらまた温めればいいですし」
「修留も食事して来いよ。まだ食ってないだろ」
その間代わってやってもいいしとにやにや笑う香真に苦笑しつつ、
「紅諒は近くに人の気配がすると休めないよ」
だから、少し一人で休ませてあげた方がいい。
そう告げて、花蕾と香真の部屋に向かう。
そこにはしっかりと食事が用意されていたので食べながら、
「ってか、あの紅諒サマがお倒れになるなんて、天変地異の前触れかね」
「鬼の霍乱…。まあ、異常事態はすでに起きてますので、前触れも何もないですけどね」
二人の話を食べながら聞いている。
「紅諒はもともと身体弱いよ」
むしゃむしゃ
耐えながら話すのは行儀悪いなと思いつつ告げる。
あれっ?
「どうしたの? 驚いた顔して?」
首を傾げると、
「身体が弱いって……」
そんなタマかよ。と呟く香真と、
「耳が悪くなったのでしょうか…」
と言いだす花蕾。
「人神はもともと霊力は高いけど、身体が弱くてね。紅諒は特に身体弱くて、無理すると体調崩してたよ」
昔を懐かしむように言うと二人が信じられないという顔のまま止まっている。
それを気にせずにご飯を楽しんでしまう。
「それ、知らなかったのですが…」
「隠してたからね。…紅諒は力の覚醒が遅れてて弟の方が先に覚醒してたし、身体が悪いのもあって、いろいろ大変だったんだよ。で、力が覚醒したら弟よりも格が上。周りが手のひら返すから人間不信」
「それって、個人情報に引っ掛かると思うのですが」
花蕾の言葉に、
「まあ、同じ下僕仲間だから話してるんだ。たぶん。紅諒言わないし」
「下僕って……。あいつは人を何様だと思ってるのやら」
不満に思っていたのだろう香真の言葉に、
「ああ、ごめん。それ僕のせい。僕は下僕として紅諒の前に現れたから」
他人は信用できない。下僕は自分のモノ。
「不器用なんだ」
このおかずも美味しいと食べる手を止めない。
「………よく知ってますね」
「そんだけ付き合いが長いのか?」
二人の言葉に首を傾げ、
「いや、ただの年の功」
これでも長生きだし。まあ、記憶は虫食いだらけだけど。
「だから、知ってる事も多いってだけ。――倒神倒魔具でしょ。阿蛇って」
紅諒が居ないから出せる話題。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・
「人が作り出した。人神も魔人族も倒せる。最古にして最恐の武器。人は人神に庇護してもらったと歴史上なっているからそんな事実も消されてるけど」
「………よく知ってるな。俺は阿蛇から聞いてたけど」
知ってはいけない事実。
「倒神倒魔具の持ち主もいるし、花蕾は魔人族では強い方だし」
「……………不本意ですが」
何を言いたいのだろうと二人がこちらを見ているので、
「これなら安心して、僕を殺してもらえる」
食べ終わったので、立ち上がる。
「「ちょっと、待って!!」下さい!!」
二人の声が重なった。
修留に悪気はない。




