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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
一夜の語り
34/265

いつか見た話

紅諒と修留のイチャイチャ(笑)

  第33話  いつか見た話

 けほっ けほ

 咳が出る。

 苦しい。


「お母…さん……」

 小さな声で祈るように呼ぶ。

 今日は優しくしてくれるといい。弟のように甘えさせてくれないだろうかとありもしない夢を見る。

 けほっ

「うるさいわね!! その咳をさっさと止めなさい!!」

 金切り声。それと同時に飛んでくる物。

 ああ、今日はそう痛くないと机の上に合ったのだろう大量の空のコンビニ弁当見て安堵するのと同時に実際に痛みを感じなかったがゴミで汚れてしまった自分にまた怒られると思ってしまう。

「また汚して!! 自分で何とかしなさいよっ!!」

 案の定。でも仕方ない。だって、僕が悪い。

「ママ~!!」

 眠っていた弟が起きてくるとお母さんは優しい声で弟の元に行き抱き上げる。

「何でもないのよ。ごめんなさい。起こしちゃって」

 再び眠れるように子守唄を歌う母。そして、幼いながらも勝ち誇ったように笑う弟。

 羨ましい思ってはいけない。

 だって、僕が悪い。

 僕が人神なのに能力が開花しない《種》だから。

 僕が人神なのに身体が弱いから。

 僕が……。

 僕は……。


 どうして生まれてきたの?

 僕なんていらないのに。


『そんな事無いよ』

 そっと抱き上げられる。

『僕は何度でも言うよ。居てくれてありがとうって』

 青い瞳。そこには深い愛情。

『大好きだよ。――』


 目の前には闇と天井。

「ここは…?」

 状況を判断しようと起き上がり―ー起き上がった事で眠ってた事に気付く――額には、濡れタオル。

「宿だよ」

 近くから答える声。

「霊力使い過ぎなところで無理したから倒れたんだよ。僕の霊力をいくら補充しても体力は回復しないんだから無理しないの」

 叱り付ける口調だが気遣う声。

「……………………夢を見た」

 ぼそりと言ってしまうのは心が弱まっているからだろうか。それとも、

「………魘されてたよ」

 自分を守るために耐えてきたが、安心できる場所が今あるからだろうか。

「……………………力が目覚めないでいらないと言われてた。何もかも自分が悪いと思えてた頃の夢だ」

「…………………うん」

 そうだと思ったと返ってくる声。

「まだ。俺は解放されないのかな」

 強くなったつもりでもまだ弱いから。

 まだ心は弱いからあの頃に囚われるのだろうか。

          ・・ 

「…………紅諒はまだ自分が嫌いなんだね」

 柔らかい声。

「自分が嫌いだから自分を責める夢を見るんだよ」

 触れてくる指先。

「早く自分を好きになれるといいね」

 撫でてくる手。

「……」

 それの心地よさに目を瞑る。

「臆病で寂しがりやで不器用で……自分のモノと言う認識じゃないと他人を信じられなくて、自分が一番嫌いで、自分を一番好きになってもらいたい」

 子守歌のように響く声。

「だから、――僕みたいなのに利用されるんだよ」

 自嘲気味に告げる声。

「……それでも」

 再び襲ってくる睡魔の中。口に出せたか分からない。

 

 お前は、俺の下僕だろう。


 そう告げれたか分からないが、……その後。悪夢は見なかった。


二人の過去はおいおいと

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