表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蠱毒の苦痛
32/265

殺した者 壊した者

一文字違うのに意味合いが違う。

  第30話  殺した者 壊した者

 少年の目には4人は救い主に見えた。

(あれは《蓮華》様…)

 人神様が来てくださった。もう大丈夫だと安堵するが、すぐにその考えを改めないといけないような出来事が――そう、結界によって入れないはずの魔人がその中の一人だったのだ。

(まさか…《蓮華》様が…)

 魔人は恐ろしい存在。そんな者と共に居るなんて…。

「何故殺さない。そこに居る者達もお前から見れば餌だろう」

 黒い霊力の塊から現れたのは白い髪。黒い肌の人間(?)

「同じモノよ。復讐を!! 世界の者を共に滅ぼそうじゃないか!!」

「………形が定まっただけで、言っている事は単純…言い替えると馬鹿。ですね」

 呆れたように魔人――花蕾は告げる。

「滅ぼしてどうするのですか。復讐したい気持ちは同意しますが」

 爪を伸ばし、その化け物に攻撃する花蕾。

 その攻撃を読んでいたので避けるそいつ。


 その戦いが高速で行われていたので少年の目で追えない。だから、

 ひょいっ

 気が付くと少年はその化け物に捕まっている。

「こんなところに活きのいい餌があったな」

「…………その子を放しなさい」

 花蕾が手も足も出ないと、出せないと動きを止める。

「誰が放すかよ。――そこの小僧。動こうとしたって無駄だからな」

 小僧――修留である――は助け出そうとして動こうとしたのに気付かれて、一瞬だけ、紅諒を見る。

「……」

 首を横に振られ、動けない。

「なあ、ガキ」

 楽しげな声が少年の耳元からする。

「《人神様》を崇めているが何で、人神様を崇めてんだ?」

 その質問の意図が分からない。人神を崇めるのは至極当然。

 それが顔に書いてあったのだろう。そいつは笑う。馬鹿にするように、

「お気楽でいいね。その《人神様》がこの元凶であっても同じ事言えるのか」

「人神様を馬鹿にするな!!」

 こんな者さっさと人神が罰してくれる。

「――不愉快だ」

 そいつは告げると額を指で弾く。と同時に何か映像が流れてくる。

 それは、人が人を喰らう光景。

 閉じ込められて、助けを求める姿。

 喰われる痛み。

 喰らう苦しみ。

 そして、それを楽しげに見ている人神の姿。

「そっ、そんな……!?」

 厳格だ。まやかしだ。そう言い切るには生々しい光景。

 バリン

 今まで信じてきたものが壊れる音。

「――その顔が見たかったんだ」

 笑うそいつは、抵抗する気力を失った少年を楽しむようにゆっくりと噛み付く。喰らおうとする。

 広がる血の臭い。

 ぴくり

 反応する気配。

「同じモノ。いつまで耐える? お前だって喰らいたいだろう。人の肉を喰らって罪悪感とかそんなの今更だ」

 そうやって作られたのだ耐える方がおかしい。

 笑う声。喰われる恐怖といまだに信じていたものの喪失で涙を流す少年。

 そいつは少年の絶望を味わうようにゆっくりゆっくり口を動かす。


 血臭。それは他の者にとっては不快なものだが、そいつと花蕾には食欲に訴えてくる代物。

「……私は、心は化け物になりたくありません」

 だが、耐えるように花蕾が告げる。

 その言葉と同時に動く影。


「――人を食べて罪悪感から化け物になるのも、人を喰らって罪悪感を背負い続けるのも僕からすればどうでもいい」

 少年を抱え、助け出した修留の眼差しは感情を抑え込んだように何も映さない。

「どちらも人を認識できてる」

 修留の周辺に大量に舞う闇色の羽根。

 一瞬だけ、翼を出して救い出したのだ。 


「人が見えなくなって、壊してくだけよりはマシだよ」

 かつて、全てを壊そうとした者はただ静かに告げるのだった。

修留にとっては、団栗の背比べ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ