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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
蠱毒の苦痛
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生きたい 生きたい ……死にたい《前篇》

花蕾の過去編。その1

  第28話  生きたい 生きたい  ……死にたい《前篇》

 記憶の中で古いモノ。

『弱い種でここまで出来るとはな』

『面白いモノですね』

 複数の声。 

 その声が好意的のものではないというのだけは分かっていた。

『……』

 手は赤い。

 いや、手だけではなく、全身赤かった。

 周りを見渡すとそこは壊れた小さな集落。


 ”私”はここで生まれた。

 

 そう知識としてあるがどこか遠い。

 壊れた建物はびっしり血が付いていたが死体はない。

『……』

 建物の中を覗いてみると中も血がこびり付いている。

『……私の家』

 そうだ。

 見ている内に何となく思い出されてくる。


 ”私”の家族がここに暮らしていた。


『実験体に名でも付けますか。どうやら、自分が***した事を認めたくないという思いで記憶を失っているみたいですし』

『……そうだな。奴らに対しての嫌がらせで、花の名を与えてみるか』

 その奴らが人神である事は何故か分かった。

 記憶がないのに知識だけは豊富だったのだ。


 知識が告げる。

 知識がある事は隠せ。

 知識が告げる。

 あいつらはお前の敵だ。だが、敵である事を隠しているので気付いてない事にしろ。


 自分の事が分からないのに、先に身を守るための事だけは分かった。

                ♦

 花蕾と付けられた。

 花の蕾と言う意味を持つそれは人神の証が花を連想させる代物だからそれに対しての嫌がらせ。

 そして、豊富な知識を隠していたので、彼らは”私”が理解できないと思って好きにしゃべってくれる。

 長い間戦争がないので痺れを切らした者が、戦争を起こすきっかけを作ろうとしていた。

 ”私”はその戦争の為に創り出した兵器の実験体。

 **を**した事で私は理想以上の兵器になったのだ。

 **の意味だけ分からない。知識にはあるはずなのに調べようとすると知識ではなく本能が止める。

 ……それを知ったら”私”は動けなくなる。

 そう知識も教えてくれたので無理に知ろうとはしない。


『花蕾』

 たまに、名を呼ばれ、命じられたがその内容も覚えて無い。

 それをすると全身真っ赤に染まって、鉄錆の臭いがしていたのだけは覚えている。

『面白いな』

 誰かが、そう言っていた。

『**をして壊れかかっている。さてと本能に従って狂うのか。その足掻きがいつまで続くか』

 その声は不気味に響いた。幸か不幸かその声の主はそれ以降見る事はなかった。


 実験はまだ続いていた。

 何をされたか分からないが、肉体ではなく内側に何かを詰め込まれた感覚。

 最初にそれをされた時は自分の手足が自分ではない者に支配されそうになった。でも、みんながすぐに助けてくれる。

 ……………………………………みんな?

 みんなって誰だろう。

 疑問を覚えたがすぐに忘れてしまう。それでいいと知識が告げる。

 なら、何も疑問に思わなくていい。

 そうやって過ごしていく内に、”私”は自分を囲んでいるモノより強くなったのを感じた。

 ……………復讐の時間だ。

 ”私”達の心が一つになった。


話は続くよ。

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