恨むモノ
主人公様のご帰還です
第26話 恨むモノ
銃で足止めしてるが所詮足止めだ。
「ちっ!!」
これなら別の銃も用意しておけばよかった。
「人神様!」
長老の声に、反応したのは自分よりも先に、その封じられていたモノ。
――ヒトガミ
地を這う様な声。
――ヒトガミ
――ヒトガミ!!
男の声。女の声。子供の声。老人の声。
多種多様な声が次々に人神と言い続ける。
「好意的じゃねえ声だな」
この地の先代とやらは一体何をしたのやら。
霊力が濃厚過ぎて姿が確認できてない。
それなのに、壁や屋根を破壊して、崩れたそれの下敷きになった人を捕らえ、ぺちゃくちゃと咀嚼しているのが音で分かる。
「ひいいいい!!」
腰を抜かしている奴を見て、今から立ち上がって逃げるには時間かかるだろうと判断する。
「~~♪」
回復させ、恐慌状態だった意識を落ち着かせる神歌。それを歌いつつ、銃で足止め。
目で確認すると動けるようになった者が怪我をした者を支えてゆっくりだが逃げていく。それを確認すると歌の対象を封じられたモノに変更して、
「~~~♪」
歌の内容も対象を弱める歌に変え、それを攻撃する。
――ヤメロ!!
ぐいっ
急に伸びてきたものが腕を首を絞めてくる。
ぐぐぐぐぐぐっ
神歌が止まる。
銃が奪われる。
やばい。
神歌と銃。
同時に二つの事をして霊力を使用したので、自分の中に残っている霊力は少ない。
霊力が足りなくなった事で身体の動きが悪くなる。
腕を拘束しているのは人の顔。長い長い首を伸ばして、右半分は潰れている。
――ツカマエタ
にたああと笑い。大きく口を開く。
――イタダキマス
喰われると思った矢先。それを感じ、
「――遅いぞ」
口の端を上げ、微かに笑う。
「紅諒!!」
その声と同時に拘束する首の力が弱まる。
首が途中で鋭利な刃物で切り落とされて落ちる。
「遅くなった」
首を落とした本人は息一つも乱さずにこちらを見て声を掛ける。
「だな」
遅いと謝る修留に確かに遅いと告げ、手招きする。
「?」
どうしたのと尋ねようとした修留のあごを掴んで唇を奪う。修留の唇を通して、修留の霊力がこちらに流れてきて、動きが悪かった身体がいつものように動く。
落ちていた銃を拾い。
「回復したか」
「……紅諒。霊力の補給ぐらい協力するけど、一言言おうよ」
冷静に言おうとしているが顔が赤いのでいい目の保養だ。最も他の奴には見せないが、
首が切られた事で怒り狂ったのか別の首が襲ってくるが、修留の可愛い顔を見るのは自分だけでいいので近付く前に叩き落す。
「……紅諒。僕の言葉聞いてないでしょう」
聞いてはいるが答えないだけだ。
「まあいいけど」
赤かった顔はすっかり元の戻っている。それを残念に思いつつ、
「それよりしないといけない事があるし」
修留は僅かに起こっている。
「本気は出すな」
翼を出して戦うな。
そう命じると、
「分かってるよ」
と着ている拘束衣を刃物の様に動かして、襲ってくるのを次々と切り落としていった。
いちゃついているのではありません。回復です。




