遺書と言う名の独白
香真お帰り
第24話 遺書と言う名の独白
話は少し前に戻る。
紅諒は、この地の長老に呼ばれて、一人になった香真は、ビーフジャーキーやスルメでは満たされなかった空腹を覚えつつ、
「なんか食い物ないか聞いてくっかな」
と部屋を出る事にしようと立ち上がる。
――主
するすると床に居た蛇――阿蛇がこちらに向かってくる。
「うん? 一緒に行くか?」
――当然。阿蛇は主と共にある
香真にしか聞こえない声。
「いいけど、また服の下に隠れてもらう事になるけど」
――阿蛇は道具。外や服の下など気にしない。主の傍が本懐
「そう言うものかね」
阿蛇の方に手を伸ばすとしゅるしゅると昇ってきて、服の中に入っていく。
「さてと」
台所はどこかなと独り言を言いつつ、歩いて行くと、
ぎいいいいいい
「んっ?」
奥の方。物置らしきところがきちんと閉めてなかったのか扉が開く。
・・・
「これ、あいつが見たら怖がるんだろうな」
――怖くないと反論する
「だよな。阿蛇もそう思うか」
――阿蛇は主からかの者を守るとも求められる。故に予測を立てる
阿蛇の言葉に苦笑して、
「お前もあいつ好きだしな」
――優先は主にある
旅に出る前は常に傍で守るように命じてた。紅諒のお呼びが来た時に連れて行った方がいいと判断したから、今はどうしてるか心配だ。
まあ、途中で寄ってもらえばいいだろう。修留に会わせてやりたいし。
扉をきちんと閉めようと近付くと、
――主
阿蛇が何かに気付いて声を掛ける。
「阿蛇?」
それは阿蛇の能力がシンクロしたから見えたモノ。
それは半透明の人。いや、人神だった。
「………何か用か?」
害意は感じない。
額は葉が三枚あるような印。確か、人神の方では位が低い方だったな。
人神は何か伝えようとしているがあいにく聞き取る能力はない。
「阿蛇。分かるか?」
――勝手な事だが、伝えたい事がある。そう言っている
「ふうん。で、何だ?」
聞いてやるけど手短にと告げると、人神はある一冊の本を見せる。
――これを人神に見せてほしい。そして、止めてほしいと
阿蛇の言葉に頷いて消えていく、
「なんだこれ?」
ぱらりと開くと、
*月*日。
この地に赴任。
魔人族の土地と近いが、周りが山なので安心してしまった。
「日記?」
何でそれを、
ぱらり
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*月*日。
上司訪問。
歓迎の宴を開く。
上司。新たな任務言い渡す。
「何だこれ」
*月*日。
結界の用意。
魔人と人を封じて観察を開始する。
*月*日。
少ない食べ物が尽きた家が出てくる。
他の家に分けてもらうが断られる。
*月*日。
結界の外に出ようと足掻く人間が現れる。
その後ろから魔人が襲い掛かり、餓死ではない死者が出る。
「おいおい…」
*月*日。
食べ物を求めて、餓死した人間を食べる者が現れる。
………私は人が人を食べる様を見ないといけないのか。
日記は延々と続く。
そして、最後に。
上司に報告した。お前が勝手にした事だと告げられ、慈悲深い人神がする事ではないと責められる。
責任を押し付けながらも、結界を広げて、人神に使える者を餌として用意しておくと結論だけ告げられる。
……私はせめて、私を信じる者の犠牲を減らすため禁術を使用する。
だが、もしこの日記を見かけた者は無責任だが託したい。どうか……。
「阿蛇…」
――阿蛇は主と共にある
そう告げられると、
「なら、活躍してもらうかもしれない」
と紅諒と合流しに向かおうとするが、
「遅かったみたいだな…」
血臭の臭いと壊れる音。それと悲鳴に気付いて冷や汗を流した。
阿蛇の正体はまた今度




