問題発言
実はこいつらの関係って……
第14話 問題発言
いつまでものんびりしていられないな。
「行くぞ。下僕」
声を掛けて、進もうとした時だった。
「俺らを置いていくの酷くない?」
揶揄う様な声。
「忘れられては困りますよ」
柔らかい優しい声。
「香真……。花蕾……」
二人の姿を認識して、不安げに目が揺れる修留の姿。
「……」
そんな修留の背をそっと撫で、
「どうした?」
お前らの事は眼中にないと告げるように一応問い掛けてやる。
「……お前には借りがある。それを捨てていくようなものだと思われるのは癪だから文句を言いに来た」
「私は、貴方に恩があります。恩を仇で返すと思われては心外です」
二人とも理解していた。
翼人。しかもその羽根が黒――本当は闇色――の修留と共に行動すると理不尽な言い掛かり。苦しい事や大変な事があり、ただでは済まない。
そして、紅諒は、それを理解しつつも修留を連れて行く事を迷わない。
「修留の事は気に入ったからな」
人間性を取って判断したと告げる香真。
「偏見なんて、いくらでも生きている内に味わいますし」
今更だと笑う花蕾。
「……お前ら」
それだけ告げて口を閉じる。
「……紅諒。会った時に僕が言った事覚えてる?」
『信用していい人は現れるよ。自分が嫌いならその分その人が君を好きになってくれる。だから』
「だから、自分は嫌いでも誰かが好きな〈紅諒〉は殺さないで……」
ああ、覚えてる。
「……こいつらはお前が気に入っているだけだ」
「僕が紅諒に連れてこられたからだよ」
じゃなかったら好意的に見てもらえない。
「……お前を知れば嫌いな者はいなくなるさ」
そう告げるとくすくすと笑い、
「それでも時間は掛かるよ」
まったく。ああ言えば、こう言う。これも見た目はともかく年齢は上ゆえの余裕というやつか。
「………仕方ない。下僕その1がこう言うからな」
ただし、
「こいつに色目を使うな。女と言えば見境なしと気に入ればいくらでも手を出すからな。お前らは」
修留を抱き寄せて条件を付ける。
「女と言えば見境ないって、…今は、婚約者居るから手を出さな………女?」
「確かに私は気に入れば人妻でも同性でも手を出しま……。色目って……?」
二人が反論しようとするのを無視して、修留のあごに手をやり、
「こっ、紅諒!! 二人が!!」
見てるのにと言う反論を唇で封じ、
「こいつは俺のものだから」
ちなみに女だ。と言うのも忘れない。ここで言わないとお稚児趣味だとさんざん言われるからな。
「「ええええええ~!!」」
二人の叫び声が林中に響いた。
もう少し続けます