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闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
闇色の翼
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厄災

修留の本気

  第12話 厄災

「もっと、力を出せよ!!」

 輸送機の中。人狩りにあった者。助けようとした者が所狭しと押し込められ、管を付けられて、霊力を吸われている。

「今はいいご時世だな。禁止されていた人狩りも金さえ渡せばやってもいいからな」

 これも魔人王様が病気で倒れたからだぜ。

「現王も馬鹿だよな。居もしない翼人という生き物で戦争中断して」

 言う事聞かない子供に言い聞かせるだけの存在。


 闇色に染めた翼人は厄災の使い。

 その者は、街を焼き、国を滅ぼし、動くモノは殺すのではなく壊していく。

 そこに種族はなく、そこに善悪もない。

 かの者の前では等しく壊れていくだけ。

 世界の大半はその翼で飛翔して、その去った場所には何も残らない。

 それこそ厄災。


「生き残った者が種族を問わず封印した。そんなおとぎ話でおいしい仕事を潰されるからな」

 まったく、いい迷惑だ。

「まあでも、翼人も裏では高く売れるらしいけどな」

 流石に手を出せねえがと仲間とともに話をしてると、

「んっ?」

 魔人の一人が窓から外を見ている。

「どうした?」

「いや、あそこ。何か近付いているような」

「無理だろ。そんな霊具があの程度の街にあるとは思えないねえ!!」

 笑いながらその窓を除くと青空に黒い点。それがどんどん近付いてくる。

「………なんだありゃ?」

 空を行ける霊具を持っていたのか。それにしても近付いているという事はこの輸送機より早いという事で……。

 黒い点がどんどん点ではなく形として認識出来る様になってくる。

 点だと思ったのが横に広い。左右は黒く、真ん中だけ青い。黒いのは広がり、縮まりを繰り返して、それが鳥の羽ばたきと同じだと気付き、鳥よりも大きい事に恐怖背筋が凍りつく。

「よ、翼人…!?」

 羽根は黒い。

 伝説と同じ。

「に、逃げ…!!」

「―-残念。遅いよ」

 届くはずの無い声がしたと思ったら進行方向が見渡せる窓にさっきのガキの姿。

 その背には黒い翼。

「――死にたくないならさっさと戻った方がいいよ」

 今なら殺さないから。

 あどけなく笑われる事がここまで恐怖を誘うとは思わなかった。

「化け物…」

 誰かが口を開く。

「化け物!! 悪魔!!」

 醜く罵る声。

「―-戻らないのか」

 じゃあ、いいや。

 小さな体で本来ならこちらが勝るはずの攻撃が、その化け物蹴り一つで、輸送機が破壊される。

「こ、こっちには人が」

 居るのに。そいつらすら巻き込む姿はまさに厄災の悪魔。

             ♦

「香真。花蕾」

 紅諒が名前で呼んでくるのは珍しいと思ったのもつかの間。

「これから起こる事に耐えられないと思うなら俺の仕事の件は忘れろ」

 しゃん

 紅諒の手には、大量の鈴の付いた錫杖。

「――」

 響き渡る雅樂うた。人神が霊具無しで行う術。神歌。

 紅諒の身分は蓮華。それは、あまねく者を救う人神の中でも上の方。


『俺ほど、似合わない身分はないな』

 蓮華になってすぐにそんな話をした。

『そうか。俺はあってると思うぞ。お前は、真に苦しんでいる輩は見捨てないからな』

 最高位〈華王〉牡丹の印を持つ上司が笑って告げた。


 神歌によって幻の花が咲き、輸送機から落ちる者を種族を問わず受け止め、ゆっくりと地面に落とす。

 奇跡が起こるのを人々は目の当たりにした。


一応キャラ紹介 修留 種族(?)翼人 大罪人

かつて大罪を犯して服役中。ただし、その記憶が封じられてる〈封じないと狂うので〉

かつては白かったが、狂うと翼が黒…と言うか闇色に染まる。

拘束衣。首輪。修留は見た目の割にいろいろある。

外見年齢は13。ただし、罪を犯した事で年を取らなくなったので、メインキャラの誰よりも上である。

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