覚悟
女の子の名前考えるのが面倒なので分かりにくいけど、殆ど女の子視点です。一部、紅諒
第11話 覚悟
「お前が何をしたか知らないが、人に利用された楽しいか?」
魔人が楽し気に挑発する。
「……」
修留は無言だ。だからこそ怖かった。
(修留君が罪人? そんな冗談…)
冗談だと笑い飛ばそうとしたが、少し前に身元を現す服だと言っていたのを思い出した。
「修留君?」
呼び掛けると修留はこちらとその向こうに居る人影を見て、
「……僕もまだ駄目だね」
苦笑い。
守る対象が近くに居るのに、一瞬動きが取れなくなった。
『それがどうした?』
まだ、声変わりの途中だった。背は僕より少しだけ高い程度で子供子供してた。
『今は違うだろう』
だけど、その眼差しは強い心を持っていた。
………周りと自分自身に振り回されていたが。
「図星を言われて傷付くなんて」
びくっ
修留が認める発言をしたのに驚く。
「あっ………!?」
修留の近くで庇われていたのに、一歩、また一歩と修留から離れていく。
修留が…年下の綺麗な男の子として見ていたのに、何か化け物に見えてきて、修留もまた危険な存在だと見えたのだ。
「危ないっ!!」
修留がそれに気付いて叫ぶが、もう足は止まらない。逆に気付かれた事がその足を速める事になる。
がしっ
腕を掴まれる。
「おやおや。こいつもなかなか」
修留とは逆の方向に居た魔人の一人が動きを封じてくる。
「放してっ!!」
暴れるがびくともしない。
「せっかくいい狩場だったのにとんだ邪魔が入ったな」
生き残った魔人達の頭上から縄でできた梯子が落ちてきて、次々と梯子を掴んでいく。
「きゃああああああ!!」
掴まれたまま、そいつに連れられて身体が宙に浮かんでいく。
「暴れたらどうなるかな?」
魔人の声が抵抗する動きを封じる。
落ちたら………。
その事を想像してしまったのだ。
「霊具で出来た輸送機だな」
紅諒は修留に近付く。
「輸送機って……、あの大きさでは霊力もかなり使用するのでは?」
花蕾が信じられないと呟く。
「……10人分ぐらい使うんじゃないかって、阿蛇の話だと」
香真は剣から蛇に戻した阿蛇を肩に乗せて告げてくる。
「……動力が魔人ならな」
不快気に口を開き、
「あれに乗せている輸送しているモノはなんだ?」
「それは、人狩りにあった…まさか!!」
花蕾が答えようとしてこちらの言いたい事に気付いて、青ざめる。
「そう、あれの動力は人狩りにあった者達だ」
人が霊具を使用するのは負担が掛かりすぎる。ましてや空を飛ぶものなど…。
「空を飛ぶものは、同じように空を飛べる霊具か。伝説の翼人しか追いつかないだろうな」
魔人の言葉に絶望が、襲ってくる。ああ、もうダメだと。捕らえられて、修留に怯えて距離を置かなければ……。
「紅諒」
修留が呼び掛けてくる。
「……分かった」
本来なら、いいのかと尋ねるべきだろうが、こいつはもう覚悟している。なら、
「罪人修留の監督官。《蓮華》紅諒の名によって、封印の枷を一つ外す」
行って来い。言葉にせずに告げる。
その言葉と同時に隣に居た修留の姿は消えた。
予定では、あと一つか2つで、第1章。修留編が終わります