霊具
前回出た霊具という物の説明。
第9話 霊具
それは、血臭で慣れない者が居たら気を失うような空間だった。
「下僕その3…」
「大丈夫です…」
声を掛けるとそんな返事が花蕾から返ってくる。その声が弱々しいものであったが気付いてないように、
「…あの中心に居るな」
と誰とは言わずに告げる。
「まじかよ。ってか、こんなに血の臭いしてたら……」
「手加減してるといいが」
「はあっ!? 何言ってんだよ!!」
修留が心配じゃねえのかよと言われたが、
「俺が、下僕の心配? するわけない」
とあっさり告げる。
「てめ~な。って、あれって…」
見えてきたのは鋼鉄の乗り物。
「バイクだよな。何で、バイクがあるんだ?」
バイクというか、あの手の者は珍しく滅多にない。
作る事は簡単だが、動力が大変なのだ。
あれの動力源は、
「霊力だよな…」
霊力で動く、使用できる。それらは、霊具と呼ばれ、貴重だ。
そのバイクにはそれぞれ魔人が乗っており、中には女性。子供を捕らえている。
「……」
それを目にすると香真と花蕾の表情が変わる。
「ったく!!」
香真の方にずっと絡みつくようにくっ付いていた蛇が香真の手に乗ると、その姿は、一振りの剣に変化する。
「乱暴はいけませんよ」
にこやかに告げると同時に花蕾は地面に両手をつける。
と、花蕾の霊力は土を伝い針のように次々とバイクを襲う。
「お前な。それで狙ったやつら以外も怪我したらどうするんだ!!」
香真が文句を言う。
「すみません。手加減できないので」
「花蕾の場合は手加減じゃなくて制御できない。だろうが!!」
香真が文句を言いながらも次々と魔人達を斬り捨てる。
斬られただけなら再生できると甘く見ていた魔人はすぐに自分達の誇る回復、再生が出来ないのに驚愕する。
「無理だから」
にやり
「阿蛇に斬られた奴は回復しねえよ」
その言葉を裏付けるように魔人にとっては軽傷でも全く回復しない。
魔人に捕らわれていた人々は二人の活躍で救出されていく。
「流石俺の下僕だ」
「下僕じゃねえ!! ってか、サボってるな!!」
香真が文句を言ってくるが所詮下僕の戯言だスルーしておく。
そのサボっている――出番を控えてるだけだ――に気付いて、数人の魔人がこちらに向かってくる。
「下僕その2が叫ぶから余計なのが来ただろ」
文句を言うと袖から銃を取り出す。
「バカか。そんなたかが銃で俺らを倒せるとでも」
ばーん
「倒せるさ」
たかが銃じゃないからな。
「これを使用すると擬態も出来なくなる」
不機嫌そうに銃口を向ける。その不機嫌な顔。額には蓮華を思わせる紋章。
「ひ…人神!!」
額に華を思わせる印。その高い霊力。それこそが人神族の特徴であった。
今更キャラ紹介
紅諒 種族人神
役職 蓮華という人神の中でも上位の位。ちなみに上司は人神で一番偉い人。
年齢は20。外見年齢も同じです。
(外見年齢と言うのが実はポイントです)