表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜を照らす暁  作者: 高月水都
闇色の翼
1/265

いつかの話。それは誓い

  第0話  いつかの話。それは誓い

 そこは牢獄だった。

 見た目は鮮やかな空間。

 綺麗な屋敷。

 でも、そこは、とあり人物の付けている首輪と常に連動して、その動きを制限する。


紅諒こうりょう」 

 その牢獄から出られるのは、そこの囚人にしか解決できない事件が起こったのみ――。

 その時、必ず見張り番として付けられる存在が居たりする。

「…………」

 見張り番になる者は将来が期待されているが、使い方を間違えると劇物になりかねない輩が選ばれる。


 一種の昇格試験。


 その囚人を使う方法を試されるのだ。


「良かったね」

 囚人は優しく笑う。


 久しぶりにいいヒトだった。

 今はまだ新芽。未熟さが目立つが、きっと偉い人になる。


 囚人はその様を見る事は出来ないが将来が楽しみだと思ったのは久しぶりだ。

「君は強くなるよ。……偉くなる」

 彼の額には赤い点が一つ。彼の種族では、《種》と馬鹿にされる弱い者と決めつけられた証。


「僕が保証する。君と言う種が発芽して、花が咲く。その花はきっと綺麗に咲くんだろうね」

 どんな花だろう。

 次の任務が来るまでの暇つぶしに、想像していてもいいかもしれない。

 ………………次はどんなヒトになるか分からないけど。きっと、きっと。


「僕が一番楽しみに思える花になるんだろうね」

 

 さてと、長話も御終いにしよう。

「じゃあね。――バイバイ」

 もう、二度と会えないけど。


 がしっ

 掴まれる腕。


「紅諒?」

「…………てろ」

 何を言ったのだろう?

「待っていろ。必ず、お前を自由にする。……都合のいい時の捨て駒にされ続けるお前の生き方を終わらせてやる!!」

 その時、額の点が別の代物に………とある花の形に変化していた。


 花の形で身分が変わる。最高位は《華王》と呼ばれる《牡丹》次位は《芍薬》。彼は……。


「――うん。分かった」

 本当は信じてない。でも、信じてみたい。………罪人の自分でも夢を見ても許されるだろう。

「待ってる」

 その言葉を最後に牢獄に戻る。


 ………期待しては心が壊れる。それなら夢は見ない方がいい。


 でも、


 でも。


「――待ってるよ。いつまでも」

 この約束は大事な大事な宝物。


「…………」

 牢獄に囚われたそれをいつまでも見つめていた。

「――力が居る」

 強くなるのは必須。

 知識を持てば選択肢が広がる。

 発言力を手に入れるには出世しないと。

 一人では出来る事は限られるから手足になる者も必要だ。


 待ってる。

 その言葉がある限り。止める事はしない。

「長く待たせないさ」

 それは自分に課した宣言だった。


 それから、約束の時は近付いていた。



主人公の若いころです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ