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あの日
「うーん。まいったな。あの時は自分で来たわけじゃなかったから…」
あの日のことを尋ねれば雅さんはそう答えた。
「それじゃ、どうやって来たんですか?」
俺の質問に雅さんはあの日の出来事を話してくれた。
「あの日はいつものようにここで研究をしていたんだ。下界に降りるための方法についてとかね。今はまだ一部の部隊しか自分じゃ行くことが出来ないからさ。
それで、息抜きがてらに掃除でもしようかと思って本を風呂敷に包んでいったんだ。
それからその風呂敷を持ち上げたとき思ったんだよ。
誰でもいいから手伝ってくれないかな。ってね。
で、気づいたら…」
「秋くんに出会っていた…か。」
「うん。そういうこと。」
どおりであんなに重かった訳だ。
「俺もすごく驚いたんだけどね。
で、帰りなんだけど、声が聞こえたんだよ。」
「声?」
「そう。こっちだよーみたいな。
で、ついて行ったってわけ。
巻き込んじゃってごめんね。」
「い、いえ!大丈夫ですよ!」
でも、その声って言うのは誰なんだろう…
なんだか気になった。