第1話:記憶喪失
この作品は、より臨場感を読者の皆様にお伝えするために、視点が統一されていません。
なので、主人公の視点からの場面もあればキャラクターの視点や誰の視点でも無いとき等がありますのでご注意下さい。
気が付くと僕はベッドに寝かされていた。
ゆっくりと身体を起こし、辺りを見渡す。
おかしい。
こんな世界、僕は知らない。
えっ?『知らない』?
じゃあ、知っている物は?知っている人は?知っている景色は?
…何も知らない。…思い出せない。何故?
記憶喪失。
いや、まさか。でも、もしかして。
そんなはずはないと自分に暗示をかけようとするが、その現実が突き刺さる。
とりあえず、僕はベッドからおりてここが何処なのか調べることにした。
ここは…小さな部屋だ。
女の子の部屋だろうか?
ピンク色の壁に、ピンクのクローゼットとタンス。
鏡の縁までピンクで統一されている。
僕は鏡の前まで行き、自分の姿を見た。
反射的に身構えた。
鏡に映る、僕の姿を見て。
それが、僕だとわかっていたのに。
僕は、少し長めの茶髪で眼の色は青かった。とても、きれいな青だった。
身長は、170センチ程…かな。
年齢は見た目からして、12〜15歳だろう。
そして、鎧を纏っていた。
何故、今まで気付かなかったのだろう?
こんなに重いのに。
その時、部屋の扉が開く音がした。
やっぱり僕は身構えた。
何故?いや、この状況だと当然…かな?
扉から現れたのは、女の子だった。
僕の身体は構えを解いた。この部屋の持ち主かな?
とても可愛い子だ。
身長は150センチ程度。
髪は方まで届く程の長さで、僕と同じ茶髪をしていた。
それともう一つ。眼。
彼女の大きな眼も、僕と同じきれいな青色だった。
「ねぇ?あなた、名前は何て言うの?」
その、彼女の問いに僕は答えられない。
「多分。僕は、記憶喪失なんだ。何も…思い出せない。」
とりあえず、僕がそう答えると彼女は、
「じゃあ、名前を決めましょ。あ、わたしはエリー。よろしくね。」
と言った。
今の僕には、これほど嬉しい言葉は無かった。