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不思議の国の星が煌めくその夜に  作者: 黒猫
♥♢不思議の国のアリス編 prologue♦♧
8/37

005頁:曰く、氷の花が降る

途中で視点の切り替えがあります。

ナイトくんのち、ラトちゃん。



黒、紅、赤黒い、シミが付いてる本には


そう書いてあった。


なにこれ…


ルイス、キャロル…?お、お前の、名前…?


…同じお名前さんですねっ!


バカか!?ルイス!この本、どこにあった?


えっと、父さんの書斎の隠し部屋だけど?


隠し部屋…?


うんっそうですよっ!すごいでしょう?


なんだよ、それ…


―――――――――――



「むう……」

「いきなりどうしたんですか。気味が悪いです…」

「分からない。悲しい、だけで…」


 ぶわりと彼女は涙を流す。ほんと、綺麗な子だな。


「キミが見せたこの光景が綺麗すぎて泣いたんじゃないの?」

「っは!」

「鼻で笑うとか…」

「うぐぅ…」

「大丈夫?」

「ん…平気。」


 服の袖で涙を拭いつつただ、この星の空を見上げる彼女は綺麗だ。真っ白で、病的なまでに白い肌。長い睫毛。碧の瞳からは涙が一滴、一滴と落ちていく。無表情じゃなければ、もっときれいそうなのに。まるで、あの頃の…


「ナイトくん」

 

そう呼ばれ、ビクッっと反応して音速の速さで彼女に振り向く。


「はやいですね…じゃなく、星は好き?」

「うん。ラトちゃんと見る星なら、もっときれいに見えて、好き。」

「そうですか。私も、星は好きなんです。お揃いですね」

「やったぁっ!ラトちゃんとお揃いだっ!」


 ぐっっとガッツポーズしたらラトちゃんが目を見開いた。何故。


「ちょっと、ラト、僕はどうなんです?」

「?シロくんは聞かなくても分かるです。…好き、ですよね?」

「……どうして分かったんですか」

「だって、こんなきれいな景色知っているってことは、好きって事かなっておもったのです」

「確かに単純な答えだね」


 物凄く単純な答えだったな。


「……半分あたって半分はずれ。」

「そうか、どっちなんです。……まぁ…ロマンチストなシロ君なら、好きな人をここに呼び出して告白かプロポーズか、デートって感じですかな…?」

「……」

「……で、あってんの?」


 余りも合いそうにない理由で一応確認をとる。


「…あたっています。」


 マジか。あの冷徹冷淡でこんなロマンチスト…合わねぇっー!!


「うん。やっぱりね。で、シロ君」

「?」

「これで、私が超だとか絶の付く鈍感じゃないって、分かったでしょう?」


 笑いそうになるの全力で押し殺す。

ぷふっ…やっぱり思うんだ…副生徒会長も思うんだな…


「くっ…」

「まだ根に持っていましたか。案外ネチネチですね」

「育ての親に似てるんです」

「僕は貴方の親ではありません。第一、初めて見た人が親とか、ひな鳥ですか、アンタは。」


あ、それで仲がいいように見えるのか。でも、どんな経験でそうなったんだろう。


「ひな鳥でも構いませんよ、パパ」

「僕はパパではありません」

「じゃあ、父上?」

「はあ…もういいです」

「うん。お父上?ううんパパだ。」

「もうなんでもいいです」

「そう?じゃあ、オカン」

「「ぶっはっ!!!?」」


 俺はこらえきれず、盛大に笑う。


「はははははっ! オカンっ! はははっ!! 似合わねえっ!! っははは!」


オカン! オカンだってー!! ぷーくすうっすす! あははははっ!


「ちょっ!? ラト!?」

「?だめですか?でも、どうでもいい、なんでもいい、そう発言したのは、シロ君ですよね?」

「それとこれは別!」

「別じゃありませんよ。どうかんがえても。」

「はあ…手のかかる娘ですね」

「手のかかる娘でいいです。」



――――――――…血ニ飢ウエタ願イヲ…―――――――



ゾクリとした。何かのとても強い殺気。それに二人も気付いたようで一斉に振り向く。



「……」

「っつ…!」

「ラトッ!」

「っは…つう…」

「シロ! あの白い人の塊っぽいのをとりあえず何とかしろ!!」

「でも、ラトが…!」

「やっぱりお前親だな。」

「す…の…ぅ…」

「親バカもいい加減に…! あれ、こっちに向かって来てるんだぞ!!?」

「分かってます!! ただ、ラトが…」

「親バカかっ!」


 そうお思い、黒いコートの中の亜空間から、大剣引き出し強化を掛ける。


「ダ…だよ…そ…は…」


 剣を振りかざすが、何かの大きなボールが白い塊を保護して上手く、攻撃が出来ない…一体どんな魔術で、一体どんな構造なんだろうか…


ぼよよ~んっ


「うおっとなんだよこれ…」

「どうしました?ラト?」

「投影開始…! つっ!!」

「ラト!?」

「+αβ世界線からallオール,innStrikerollインストール!!」


 ラトを振り向けば、目が、黄金に…。 その光景が、綺麗だった。

 いや、その色が、その姿が、あまりにも美しい。

 その顔が、苦しそうにゆがめていても、その瞳には、

 何かを助けたいと思う決心の宿る瞳。

 何かを願う、とても、人とは思えない瞳。


「ちょっ!?」

「ぐっ!」

「なにしてるんですかっ!?」

「静かに。そおっれっと」


ぐにゃりと次元が歪みボールを無視して白い塊に一つの檻が覆う。


「すごい…」


…一体どんな魔法の系統なんだ…



♡♦ラト視点♧♠――――――――――――…




――――――…血ニ飢ウエタ願イヲ…――――――


―――――――――…“Snow”…―――――――――


ゾクリとした。何かのとても強い殺気。

いいえ…違う…これは殺気なんて生々しい物じゃない。


これは…狂った、歪んだ醜い願い。


「……」

「っつ…!」


 情報が体に流れ込んでくる。

違う…正しくは記憶ですね。

十年前の惨劇。血まみれ。血。ち。

死体。“死体。したい。叫んだ。発狂した。


そうさせたのは、紛れもない自分だったのに。

冷静になるのと同時に無関心になった。

自分の持ってる力を最大限に引き出した。

力は幼少期に最大限に引き出すと最悪の場合死ぬらしい。


でも、でもね、そんなの、気にするわけがない。

力の全てを、書き換え、得たもの…それらを融合すればいい。


『雪の名において命ずる翼の力よ、我に力を貸せ。青よ、青よ、彼の者の時間を巻き戻せ―――――――…『Says , ice flower falls』』


「ラトッ!」

「っは…つう…」


 苦しい。怖い。…喪ったもの。零れ落ちたもの。


「シロ! あの白い人の塊っぽいのをとりあえず何とかしろ!!」

「でも、ラトが…!」

「やっぱりお前親だな。」

「す…の…ぅ…!」

「親バカもいい加減に…!あれ、こっちに向かって来てるぞ!!?」

「分かってます!!ただ、ラトが…」

「バカ親かっ!」


 ナイトくんが大剣引き出し強化を掛ける。

止めなきゃ。止めなきゃ。ダメ。

殺しちゃ、ダメだ。ダメ。助けなきゃ。


「ダメだよ…それは…」


 精一杯声を振り絞るが、二人には聞こえてないようだ。もう…ホント、今日は運が付いてないな…


ぼよよ~んっ


「うおっとなんだよこれ…」

「どうしました?ラト?」


気付くの遅いなっ…!うん。遅い。


「投影開始…!つっ!!」


 魔力をコピーしする。痛いなぁ…これが終わったら、一回森に戻ろうかな…記憶が戻ってる。


「ラト!?」

「+αβ世界線からallオール,innStrikerollインストール!!」


世界線の一つから、檻をコピーする。案外痛いんだよね、これって。

まあ、眠くなるんだけどね。凄く眠い。


「ちょっ!?」

「ぐうっ!」


お願い。ただ、ただ、願う。


「なにしてるんですかっ!?」

「静かに。そおっれっと!」


 耳障りだ。何もかも。自分にさえ、なにもなかも、耳障り。ぐにゃりと次元が歪み、ボールを無視して白い塊に一つの檻が覆う。


「すごい…」


ああ、だめだ。苦しい…

 瞬間――――――世界が歪んだ。 





はい! そうです! 分かり難いですが、ラトちゃんはアルビノです! しかし目普通の青。シロ君は銀髪です。ラトちゃんのアルビノは、裏設定的なナニカです。

後々意味が分かってきます。なんかすいません。


途中言葉の翻訳は、『曰く、氷の花が降る』、です。

Google翻訳です。自分は英語が苦手なので。うん、これどうでも良い情報だね!

因みに、今回少しの追憶的なナニカは、本作ではこれからも出る、雪です。


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