005頁:曰く、氷の花が降る
途中で視点の切り替えがあります。
ナイトくんのち、ラトちゃん。
黒、紅、赤黒い、シミが付いてる本には
そう書いてあった。
なにこれ…
ルイス、キャロル…?お、お前の、名前…?
…同じお名前さんですねっ!
バカか!?ルイス!この本、どこにあった?
えっと、父さんの書斎の隠し部屋だけど?
隠し部屋…?
うんっそうですよっ!すごいでしょう?
なんだよ、それ…
―――――――――――
「むう……」
「いきなりどうしたんですか。気味が悪いです…」
「分からない。悲しい、だけで…」
ぶわりと彼女は涙を流す。ほんと、綺麗な子だな。
「キミが見せたこの光景が綺麗すぎて泣いたんじゃないの?」
「っは!」
「鼻で笑うとか…」
「うぐぅ…」
「大丈夫?」
「ん…平気。」
服の袖で涙を拭いつつただ、この星の空を見上げる彼女は綺麗だ。真っ白で、病的なまでに白い肌。長い睫毛。碧の瞳からは涙が一滴、一滴と落ちていく。無表情じゃなければ、もっときれいそうなのに。まるで、あの頃の…
「ナイトくん」
そう呼ばれ、ビクッっと反応して音速の速さで彼女に振り向く。
「はやいですね…じゃなく、星は好き?」
「うん。ラトちゃんと見る星なら、もっときれいに見えて、好き。」
「そうですか。私も、星は好きなんです。お揃いですね」
「やったぁっ!ラトちゃんとお揃いだっ!」
ぐっっとガッツポーズしたらラトちゃんが目を見開いた。何故。
「ちょっと、ラト、僕はどうなんです?」
「?シロくんは聞かなくても分かるです。…好き、ですよね?」
「……どうして分かったんですか」
「だって、こんなきれいな景色知っているってことは、好きって事かなっておもったのです」
「確かに単純な答えだね」
物凄く単純な答えだったな。
「……半分あたって半分はずれ。」
「そうか、どっちなんです。……まぁ…ロマンチストなシロ君なら、好きな人をここに呼び出して告白かプロポーズか、デートって感じですかな…?」
「……」
「……で、あってんの?」
余りも合いそうにない理由で一応確認をとる。
「…あたっています。」
マジか。あの冷徹冷淡でこんなロマンチスト…合わねぇっー!!
「うん。やっぱりね。で、シロ君」
「?」
「これで、私が超だとか絶の付く鈍感じゃないって、分かったでしょう?」
笑いそうになるの全力で押し殺す。
ぷふっ…やっぱり思うんだ…副生徒会長も思うんだな…
「くっ…」
「まだ根に持っていましたか。案外ネチネチですね」
「育ての親に似てるんです」
「僕は貴方の親ではありません。第一、初めて見た人が親とか、ひな鳥ですか、アンタは。」
あ、それで仲がいいように見えるのか。でも、どんな経験でそうなったんだろう。
「ひな鳥でも構いませんよ、パパ」
「僕はパパではありません」
「じゃあ、父上?」
「はあ…もういいです」
「うん。お父上?ううんパパだ。」
「もうなんでもいいです」
「そう?じゃあ、オカン」
「「ぶっはっ!!!?」」
俺はこらえきれず、盛大に笑う。
「はははははっ! オカンっ! はははっ!! 似合わねえっ!! っははは!」
オカン! オカンだってー!! ぷーくすうっすす! あははははっ!
「ちょっ!? ラト!?」
「?だめですか?でも、どうでもいい、なんでもいい、そう発言したのは、シロ君ですよね?」
「それとこれは別!」
「別じゃありませんよ。どうかんがえても。」
「はあ…手のかかる娘ですね」
「手のかかる娘でいいです。」
――――――――…血ニ飢ウエタ願イヲ…―――――――
ゾクリとした。何かのとても強い殺気。それに二人も気付いたようで一斉に振り向く。
「……」
「っつ…!」
「ラトッ!」
「っは…つう…」
「シロ! あの白い人の塊っぽいのをとりあえず何とかしろ!!」
「でも、ラトが…!」
「やっぱりお前親だな。」
「す…の…ぅ…」
「親バカもいい加減に…! あれ、こっちに向かって来てるんだぞ!!?」
「分かってます!! ただ、ラトが…」
「親バカかっ!」
そうお思い、黒いコートの中の亜空間から、大剣引き出し強化を掛ける。
「ダ…だよ…そ…は…」
剣を振りかざすが、何かの大きなボールが白い塊を保護して上手く、攻撃が出来ない…一体どんな魔術で、一体どんな構造なんだろうか…
ぼよよ~んっ
「うおっとなんだよこれ…」
「どうしました?ラト?」
「投影開始…! つっ!!」
「ラト!?」
「+αβ世界線からall,innStrikeroll!!」
ラトを振り向けば、目が、黄金に…。 その光景が、綺麗だった。
いや、その色が、その姿が、あまりにも美しい。
その顔が、苦しそうにゆがめていても、その瞳には、
何かを助けたいと思う決心の宿る瞳。
何かを願う、とても、人とは思えない瞳。
「ちょっ!?」
「ぐっ!」
「なにしてるんですかっ!?」
「静かに。そおっれっと」
ぐにゃりと次元が歪みボールを無視して白い塊に一つの檻が覆う。
「すごい…」
…一体どんな魔法の系統なんだ…
♡♦ラト視点♧♠――――――――――――…
――――――…血ニ飢ウエタ願イヲ…――――――
―――――――――…“Snow”…―――――――――
ゾクリとした。何かのとても強い殺気。
いいえ…違う…これは殺気なんて生々しい物じゃない。
これは…狂った、歪んだ醜い願い。
「……」
「っつ…!」
情報が体に流れ込んでくる。
違う…正しくは記憶ですね。
十年前の惨劇。血まみれ。血。ち。
死体。“死体。したい。叫んだ。発狂した。
そうさせたのは、紛れもない自分だったのに。
冷静になるのと同時に無関心になった。
自分の持ってる力を最大限に引き出した。
力は幼少期に最大限に引き出すと最悪の場合死ぬらしい。
でも、でもね、そんなの、気にするわけがない。
力の全てを、書き換え、得たもの…それらを融合すればいい。
『雪の名において命ずる翼の力よ、我に力を貸せ。青よ、青よ、彼の者の時間を巻き戻せ―――――――…『Says , ice flower falls』』
「ラトッ!」
「っは…つう…」
苦しい。怖い。…喪ったもの。零れ落ちたもの。
「シロ! あの白い人の塊っぽいのをとりあえず何とかしろ!!」
「でも、ラトが…!」
「やっぱりお前親だな。」
「す…の…ぅ…!」
「親バカもいい加減に…!あれ、こっちに向かって来てるぞ!!?」
「分かってます!!ただ、ラトが…」
「バカ親かっ!」
ナイトくんが大剣引き出し強化を掛ける。
止めなきゃ。止めなきゃ。ダメ。
殺しちゃ、ダメだ。ダメ。助けなきゃ。
「ダメだよ…それは…」
精一杯声を振り絞るが、二人には聞こえてないようだ。もう…ホント、今日は運が付いてないな…
ぼよよ~んっ
「うおっとなんだよこれ…」
「どうしました?ラト?」
気付くの遅いなっ…!うん。遅い。
「投影開始…!つっ!!」
魔力をコピーしする。痛いなぁ…これが終わったら、一回森に戻ろうかな…記憶が戻ってる。
「ラト!?」
「+αβ世界線からall,innStrikeroll!!」
世界線の一つから、檻をコピーする。案外痛いんだよね、これって。
まあ、眠くなるんだけどね。凄く眠い。
「ちょっ!?」
「ぐうっ!」
お願い。ただ、ただ、願う。
「なにしてるんですかっ!?」
「静かに。そおっれっと!」
耳障りだ。何もかも。自分にさえ、なにもなかも、耳障り。ぐにゃりと次元が歪み、ボールを無視して白い塊に一つの檻が覆う。
「すごい…」
ああ、だめだ。苦しい…
瞬間――――――世界が歪んだ。
はい! そうです! 分かり難いですが、ラトちゃんはアルビノです! しかし目普通の青。シロ君は銀髪です。ラトちゃんのアルビノは、裏設定的なナニカです。
後々意味が分かってきます。なんかすいません。
途中言葉の翻訳は、『曰く、氷の花が降る』、です。
Google翻訳です。自分は英語が苦手なので。うん、これどうでも良い情報だね!
因みに、今回少しの追憶的なナニカは、本作ではこれからも出る、雪です。