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3話 ネル・ダブル少年

 タバ大陸はほぼ正方形の形をし、それをちょうど四等分に分けるように十字型に大河が流れている。

 丁度中央には直径20kmの山があり、その標高は未だ正確には計測されていない。

 河さえ越えれば、その先は平地や森林など住居の可能となる土地が広がっている。その陸地を4つの国が統治を行っていた。


 そして各国家間を塞ぐ大河には幅20mの木造橋が建造されている。

水深が深く流れも早い為、精霊の力で建造されたみたいだが。4カ国全てに建造できるまで100年程掛り、150人もの精霊術士が工事中に命を失ったと記録されている。


 場所は南西サマン国。10の州があり、その内最も南にあるサウスバーク州のウス地区に少年は誕生した。

 少年の父親は、今年40歳で顔は強面で体も大きく筋肉質だが子供には優しい父であった。

 父はウス地区20番地長であり、前任の20番地長も祖父が勤めていた。20番地に住む人々からは信頼されている。母は父と幼馴染であったらしく、20番地内一の美女と若い頃は言われていたらしい。いつもは優しいが、怒り出したら止まらない正確である。

 今は少しぽっちゃりしているが、本人曰く子供たちの食べ残しを勿体無いから食べたのが原因と言っている様だが、子供たちは信じていない。

 父は母に甘く、親子喧嘩の時はいつも母の方をもつので、どうも未だに母の事が好きみたいだ。


 サマン国は国政により、大家族が多くどの家庭にも4~5人の子供がいた。


 少年の兄弟は兄3人、姉1人で5人兄弟の末っ子であり、順番的には長男アル20歳、次男エル16歳、長女ネイ12歳、三男ハル10歳、最後に四男ネル7歳となる。

 名前を付けるに適当感があるが何処の家庭でも、そんな程度らしい。


 ネルは小さい時から賢い少年であった。親や兄弟に迷惑を掛ける事は無く、信じられない事に5歳の時に母の読み聞かせの本から文字を学習し、6歳の時には一人で読書を始めていた。

 家族間の間ではその時に天才と言われていたが、その天才が7歳の時に行った2つの功績によって国が認める神童へと変わった。


 その1つが新しい薬草の発見である。

 ネル曰く「裏山に散歩に出たとき、怪我をした動物が口で葉をほぐし傷口に塗りつけているのを見て持ち帰った! その傍には、僕たちがいつも使っている薬草もあったのに、おかしいと思った。動物もやっているなら僕たちにも効くかもしれない」と、思ったとの事であった。


 普通7歳の少年がそんな状況に出くわしても、そこまで考える事は無い。

 実際、父が煎じてみて試してみると、痛みの緩和や解熱など今までの薬草より強い効果があらわれた。

 その薬草は父が正直に公表し、国が薬草認定を行うまでに至った。

 薬草の名前は、発見者に因んでネル草と命名された。


 2つ目が水車を作った事である。

 母が川からバケツで水を汲んでいるのを見たとき、腰を痛そうに叩いていて助けてあげたいと思ったから考えてみたとネルは製作理由を語った。

 その日、父にネルが水車の絵を渡して「作ってみて!」と頼んでみた、父は絵を見ながらネルが説明する事に頭を捻っていたが、半信半疑の顔をしながら頷いて見せた。

 誰よりもネルを知る父である為、ネルの言葉を信じ20番地会議で絵と共にネルが作成依頼をして来たと説明を行った。他の面子も信じていない様子で在ったが、発案者が薬草を発見したネルだったので、試作品を作ってみる事となった。

 ネル監修の元作成された揚水水車は思いのほか上手く作動し、日ごろ辛い水汲みから開放された女性人から絶大なる評価を得た。

 水車は国中に広まり、20番地には水車職人が多く誕生した。現在水車は国を飛び出し隣国に移ろうとしていた。

 父はネルに聞いてみた。


「どうして水車のような物がお前に考えられたのか?」


 その問いにネルは答える。


「川を見ながら母が楽に出来るように想像すれば絵が出てきます。」


 それを聞いた父は独り言の様に呟いた。


「お前にはこの国は狭すぎるかもしれないな」


 そんなネルはいつもと変わらず、裏山へ出かけていく母からは森の奥には行かないように言われながら。

 もちろん、ネルもそのつもりである。

 いつもの様に、こっそり作った秘密基地で1人の時間を満喫する為に駆け足で出かけていく。


 しかしそこでネルは精霊さんに出会う事になる。

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