狐族の掟
緑の台詞がやけに長く、読みにくかったので行間多目です!(しかしあまり変わらなかったorz)
ひとまとまりが大きいせいか、長さとしては短めです(文字数は普通なハズ!)
うすぼんやりと意識が戻ったとき、何故か清は、自分が狐神姿で佇んでいるのをどこかから眺めていた。
その清の目の前にいるのは、母と父、それに光。
目を真ん丸にした二人とあまり変わらないように見える父に向かって、『清』が動いていく。
「―――――」
「―――」
「――――――――」
『清』と母と父の口が入れ代わるように開いたり閉じたり、パクパク動く。光は黙ったまま、何かを考えるように下を向いていた。
何もしない息子を他所に、両親は次第に興奮していく。
何か話し込んでいるのは分かる。でも、声が聞こえない。内容が、分からない。
「―――――――」
「――――――――――」
「―――――」
「――――――――――――――――――」
――長い長い、議論だったと思う。
急に母が口をつぐみ、光が顔を上げ、父が立ち上がった。
一斉に、『清』のいる方向を見る。
そこに何があったかを確かめる前に、突然景色が白くなった。
そのまま視界は、徐々にフェードアウトしていく。
気がつけば清は、地面に横になっていた。目の前、清の短い前足が届きそうな所に、緑の足が見える。
上を見上げると、緑が清を見下ろしていた。
緑の顔には、元のように綺麗な笑顔が浮かんでいるのを見て、安心した清はホッと胸を撫で下ろした。
「大丈夫ですの?私、さっきはあのように黙ってしまいましたけれど、今やっと決心がついたところですの。いいですか、決してそのように決めた神を悪く思わないでくださいね。神は、本当はとってもいい方なんですのー。」
さっきの夢。あれはなんだったのだろうか。あのようなことは、全く身に覚えがない。
まるで、これから起こることのような――
「……聞いてます?」
再び冷ややかな視線を向けられて震え上がった清は、思考を無理矢理中断して緑の口元をじっと見つめた。
「1つ、家族に今の状態をありのままに伝え、これから暫く会えなくなることも伝えること。
2つ、むやみやたらに能力を使わないこと。
3つ、神とは、兄弟に接する時のようにすること。
この3つさえ守れば、基本は自由に過ごして良いのです」
緑は話終えると一息ついた。そして清の前足に自分の前足を重ね、清に声をかける。
「いいですか?もう、試練は始まっています。今から私の力であなた様の家に向かいます。……別れを、告げてください。――あなた様の口で」
「……………………は?」
少々間があったものの、やっとのことで声を出す。サラッと言われたことが理解できずに頭が固まった。
……いや。理解したくない、だけかもしれない。
「…突然このようなことを言ってすみません。でも、これだけはご自分で言っていただかないと、後で絶対後悔しますから。私は、あなた様に後悔してほしくないのです。あなた様がどんなに嫌がられても、これだけは、譲りたくありません」
目の前に、緑の真剣な顔がある。真っ直ぐに清を映す瞳には、ほんの僅かな後悔の色と、それを隠すように覆う決意の色を浮かべて。
――やっぱり。
やっぱり、緑さんは。
「では、参ります」
……過去に、なにか辛かったことが。
ジッと摩擦音がして。
清の視界は真っ白に染まった。
私はこれから冷静にぬゎる!!
目指せポーカーフェイス!( ´∀`)にへらにへら