別れの告知
短いのはご了承ください!
(今回特に短いです近々また更新する予定なのでそれでご容赦((ゴフッ)
あーもう宿題どっかいっちまえーー(T-T)
どこにしよどこにしよと半ばパニックに陥りかけていた光が選んだのは、小さい頃よく清と遊んでいた公園だった。
真ん中にひとつポツンとあるベンチに腰を下ろす。
満月が光を優しく照らした。
腕の中の清は、まだ目を開かない。
「…………」
長い時間清を眺めていた光は、意を決したようにすっくと立ち上がった。死んだように動かない清を両手で抱え、公園の隅の方へ歩いていく。
その先にあるのは、森。
深すぎて、進入禁止の看板が掛かっているような。
看板を無視して奥に進めば、待ち構えているのは鉄の柵。
隙間からは、子供の手首までしか入らないくらいの。
絶対不可侵の、柵。
公園からは絶対に入れない、ということは。
同時に、森から抜けられないことも意味する。
光なら余裕で乗り越えることができるこの高さも。
小さくなってしまった、子狐の清には…届かない。
光はそんな森に、清を抱えたまま入っていく。
柵を越えるときも、一瞬の躊躇いすら見せずに。
脇目も振らず、だだ、奥へ、奥へと。
その双眸に、光は無かった。
表情にも、動きにも。
規則正しいリズムで足を動かし、一定の速度で進んでいく。
公園の柵が見えないところまで来ると、光はやっと足を動かすのを止めた。
光の目の前に広がるのは、闇、だった。
完全なる、闇。
月の光さえ入ってこれないほどの。
その闇と光の狭間に光は立っていた。
怖いとは、思わなかった。
迷いなく闇のなかに一歩を踏み出し、後ろを振り返ってその場にしゃがみこむと、清を地面に置いた。
光の指す場所に。白く美しい毛並みが、月光を浴びて一層美しく輝く。
「さようなら、……ニィ」
それを眺めながら光は小さく呟いた。
相変わらず清は、動かない。
身じろぎさえしない清を見た光は、今来た方向に目を移し、立ち上がった。
再び歩き出す。規則正しいリズムを保ちながら。
あの家へと、真っ直ぐ帰っていく。
光が消えていった後には、清だけがポツンと残されていた。