変わらない日常
初のふざけてない(はずの!)連載小説です!
文章が拙い点もあろうかと思いますが、どうぞ暖かい目で御覧くださいませ(*^^*)
今日も、いい夜だった。月の光が辺りで輝いている。そんな中、獣はため息を着いた。
疲れているような、安堵したような感じを含ませて。
不意にその獣は空を見上げた。その鋭い目は月の光を反射し、まるで目そのものが光っているようであった。フッと獣は息を吐くと、空を見上げるのを止め、今度は宙を見つめ始めた。
途端、そこには不思議な色をした穴が口を開けていた。
獣が慣れた手つきでその穴に前足を入れると、目も開けられないくらい眩しい光が、獣の体から放たれた。
次の瞬間、あの眩しい光も、怪しい獣も、全て跡形もなく消えていた。
「清~!荷物持った?」
階下で母が呼んでいる。清はだるそうにしながら、ゆっくり、一歩ずつ階段を下りていった。階段の数は、全部で13段。それを一段ずつ下りていくのだから、当然時間がかかる。
「…」
そんな清を見て、母がなにか言いたそうに口を開いたが、結局何も言わないまま口を閉じた。
「ねえお母さん、これはドコに置くの?」
この気まずい雰囲気に耐えかねたのか、見ていた弟の光が声を掛けた。
…母の顔がスポットライトを浴びたように輝いた気がしたのは、もしかして清だけだったのだろうか。
「行ってきまーす!」
ちょうど二階でうとうとしていた清は、つと時計に目を走らせた。
「7時丁度、か」
光は朝練のためもう出ていってしまったが、部活に入っていない清には、まだ少し時間がある。やることもなく、だらだらとしていると母に怒られてしまった。
「早く清も学校に行きなさい!」
全くもう弟の爪の垢を煎じて飲ませたい、と呟いている母の声から逃れるように、清は外に出た。
…今日も、青い空が清々しい。
眩しさに目を細めながら、重い学生鞄を持ち直した清はいつものように歩いていく。
その姿を隠れて睨んでいる影があることに、気がつかないまま。